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【アーティストインタビュー】#002 加藤智大

【アーティストインタビュー】加藤智大

1981年東京生まれ。多摩美術大学大学院を修了後、金属加工会社に勤務し腕を磨き、アーティストとして、2011年の「Geisai Taiwan #2」での片山正通賞受賞や、「第16回岡本太郎現代芸術賞」で最高賞である岡本太郎賞を受賞するなど近年注目を浴びる芸術家の一人。

 
 
運営者 播磨
アートフェアで初めて作品を生で見たとき、変化のない固定的なイメージの「鉄」という素材を使われているのにも関わらず、作品を見ていると映像のように揺らいだり、写真にうまく写ってくれなかったり、一瞬、鉄であることを忘れてしまう、いい意味で鉄らしくない印象を受けました。不思議な違和感が面白く、今回インタビューをお願いしました。今後、どのような鉄の可能性を見せてくれるのか楽しみな作家さんです。

 
自己紹介をお願いします。
加藤智大です。
 
作風やコンセプトを教えてください
僕は一貫して鉄がテーマになっていて。鉄の根源的にある暴力性であったり、現代社会におけるなにがしをぶつけような作風です。最近は境界線みたいなものに興味があって、鉄越しに見た何かであったりがコンセプトになっていてます。
 
ART in THE PARK HOTEL TOKYO 2019のロビーフロアで展示されていた作品について教えてください。
あれは、薬物中毒の人を3Dスキャンして作ったもので、今回の平面なんかもそうなんですけど犯罪者がモチーフです。

線の集積で出来ている作品なのですが、ある角度で見ると線だけに見えて物質感が消えて亡霊みたいに漂う。近寄ると鉄の質感を感じるんですけど、遠くなると物質感が消えて曖昧なバーチャルな存在になったり、動いて見るとモアレの効果で彫刻自体が映像化する。鉄という物質と、映像的というか仮想的なものの二極のものが一緒にあるような作品です。
 
自身の優れていると思う点は何ですか?
何で鉄なんですか?とよく聞かれるんです。腐れ縁で学生時代から扱っているもので、一番扱いやすいのが鉄だったからと説明するんですが、最近考えて思ったことがあるんです。

僕は手で鉄を触っても錆びないんです。人には錆び手ってのがあって、鉄を触ったそばから指紋の形で錆びて行く人がいて、そういう人は磨いた鉄の表情で作品をフィニッシュさせることが出来ないんです。塩分濃度なのか汗の感じなのかは分からないんですけど、体質的に僕には鉄を扱う才能があるんだなと気づきました。
 
苦手なことは何ですか?
ルーティンが苦手です。ずっと同じものを何秒で何個作るとかが死ぬほど苦手です。作品の制作以外の仕事は嫌いです。笑  あと腰が痛いです。笑
 
影響を受けたアーティストは誰ですか?
榎忠さん、原口典之さん、リチャード・セラ、契機になったのは会田誠さんです。
 
どんな子供でしたか?
ヘラヘラしてました。何もしてなかったです。あとこの手のインタビューで皆さんによく言われているようにプラモは好きでした。
 
アート以外で好きなことは何ですか?
酒、食、ドライブ、音楽鑑賞、映画鑑賞です。
 
1番思い出に残っている作品やプロジェクトは何ですか?
鉄で鉄じゃないものを作るという作品から自分の作品作りが始まっていて、その時に初めて作ったのが鉄のネクタイです。友達の結婚式に行くのにドレスコードがシルバーだったので、何したら面白いかなと考えて鉄のネクタイを作りました。

実際に鉄のネクタイを締めて電車に乗ったんですが、誰にも気づかれないんです。鉄のネクタイを締めてるって明らかに変態なんですけど、物凄いクオリティー高く作れば、変態が満員電車に紛れることができることに驚きました。それと同時に、人って何でこんなに観察することが出来ないんだろうと思いました。ネクタイは布であると思い込む認識から逃れられなかったり、観察眼がなかったり、気づいていたとしてもコミュニケーションを取れなかったり、そういったことで紛れることができる。これがすごい面白くて、見るということ鑑賞・観察することをよく考えるようになりました。

 

 
夢を教えてください。
鉄の塊を拾ってポンと置いただけで作品が成立するようになりたいです。
 
Courtesy of TEZUKAYAMA GALLERY


 
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