【アートレビュー】豊かな色彩とマチエールで描かれた抽象絵画〜門田光雅個展「SUPER PRISM」

門田光雅個展「SUPER PRISM」

大阪堀江のTEZUKAYAMA GALLERY で開催されている、門田光雅さんの個展「SUPER PRISM」にお伺いしてきました。

門田光雅さんは、1980年静岡生まれ。現在は埼玉県を拠点に活動されています。

セゾン現代美術館に作品が所蔵されるなど、注目が集まる作家の一人で、先日のSBIアートオークションでも出品・落札されていました。

TEZUKAYAMA GALLERYでは2019年以来の個展となります。

ギャラリーに入ると見事な大作が目に入ります。

絵具が贅沢に使われ、艶のある質感が立体感を生み出しています。

この表現は、出生地である静岡の海や、多動傾向であった自己の特性などから生まれているようで、迷いのないストロークや質感、鮮やかな色彩が、一目で門田さんの作品であることがわかります。

昨年から制作している多面体のシリーズは、複数のキャンバスを組み合わせることで、一つの作品として成立させています。

並べる順番を入れ替えたり、バラバラにすることで、作品そのものが形を変えていきます。

今回の展示で特に気になったのが、デカルコマニーの技法を用いた作品です。初めて拝見したのですが、以前から制作されていたシリーズのようです。

染めた支持体に、絵具をデカルコマニーの技法でペイントすることにより、葉脈のような独特の模様と質感が生まれています。門田さんの作品には珍しく落ち着いた色彩ですが、とても上品で美しい作品です。

門田さんの作品の素晴らしさは以前から理解していたつもりですが、この展示を観て改めて門田作品の奥深さを実感できました。

進化をし続けており、全てのシリーズが見事な完成度でした。

是非、生で観てほしい展示です。