DELTA Exhibition
大阪のTEZUKAYAMA GALLERYで開催されている「DELTA Exhibition」にお伺いしてきました。
全体的に、かなりクセのある作品ばかり(褒めてます)でとても面白かったです。
いくつか気になった作品・作家の紹介をしていきます。
昨年、TEZUKAYAMA GALLERYの両スペースを会場に開催したアートフェア「DELTA Experiment」。
既存のアートフェアとは異なる視点でギャラリー、アーティスト、コレクターを繋ぐ新たな「場」の創造を目的に、国内3都市(東京/大阪/京都)から先鋭的な企画展やアーティストを発信している7軒のギャラリーでスタートしました。
今展は「DELTA Exhibition」と題し、初回に参加した各ギャラリーから新たにアーティストを厳選し、展覧会形式でご紹介いたします。DELTA Executive Committee
岡田 慎平 / 高橋 亮
今回は以下の8名が参加していました。
- 松村咲希(DMOARTS / 大阪)
- 香月恵介(EUKARYOTE / 東京)
- 彦坂敏昭(FINCH ARTS / 京都)
- や んツー(FL田SH / 東京)
- 永井天陽(HARMAS GALLERY / 東京)
- 金光男, 宮田雪乃(LEESAYA / 東京)
- 大江慶之(TEZUKAYAMA GALLERY, 大阪)
松村咲希 | Saki Matsumura (DMOARTS, Osaka)
1993年長野県生まれ、京都在住。2017年京都造形芸術大学芸術研究科修士課程芸術専攻ペインティング領域修了。アクリルペイント、シルクスクリーンなどの複数の技法を使用し 、レイヤーと立体感を複雑に持つ絵画作品は、現実世界の風景には感じえない多次元的な景色や感覚へのイマジネーションをも膨らませる。近年の展示に、個展 ‒ see sew scene ‒ARTISTS’ FAIR KYOTO SATELLITE 2021(ygion・京都/2021)、Combinations(LADGALLERY・名古屋/2021)、ART OSAKA WALL(山川ビル・大阪・DMOARTS/2020)等。
見るたびにどんどん良くなっている作家さんですが、今回も最高でした。
色の使い方や構図のうまさが抜群で、流石の一言。白い部分は直線に近いものや綺麗な曲線をよく使われている印象ですが、1枚目の作品のようなウネウネとした線の作品は初めてみました。面白いですね。
あと、松村さんの作品って、盛り盛りの部分とフラットな部分の境界線がたまらないんですよね。今回もかなり興奮しました。
しかし、そろそろコレクションしないとヤバイなと焦ってきました。笑
永井天陽 | Solaya Nagai (HARMAS GALLERY, Tokyo)
1991年生まれ、2016年に武蔵野美術大学彫刻コースを修了しました。2014年には奈良美智氏の選抜により青森県立美術館の八角堂にて個展を行いました。永井の制作は一般的な認識や常識的なルール、振る舞いなどに対する問いかけが軸となっています。中心的な作品群として、身近にある雑貨や置物などの物体をかたどった透明アクリルの型に、関係のないぬいぐるみや人形を封入した「metaraction」シリーズと、かつて生きていたもの×既成品という組み合わせで制作される「urnto」シリーズがあります。主な展示に「ぬるまるつぼ(」HARMAS GALLERY / 2021)、「フープとホール(」THE POOL / 2021)「、名無しのかたち」(武蔵野美術大学 gFAL / 2018)、「北に歩いて南へ向かう(青森県立美術 館八角堂プロジェクト PHASE2014)」(青森県立美術館八角堂 / 2014)。
観たかった作家さんですがようやく見れました。
「metaraction」シリーズが本当に面白いですね。やってることは、透明の型にぬいぐるみなどの既製品を封入しただけなんですが、顔を歪めながらも封入されている人形の表情がなんともいえません。既製品を形どった透明の型に既製品をいれることで、それぞれの特徴が歪み、不確かな存在となっています。既製品のあり方や既製品で溢れている私たちの生活について少し考えさせられますね。
やんツー | yang02 (FL田SH, Tokyo)
1984年生まれ。2009年多摩美術大学大学院デザイン専攻情報デザイン研究領域修了。デジタル・メディアを基盤に公共圏における表現にインスパイアされた作品を多く制作す る。行為の主体を自律型装置や外的要因に委ねることで人間の身体性を焙り出し、表現の主体性を問う。文化庁メディア芸術祭アート部門にて「SENSELESS DRAWING BOT」 が第15回で新人賞、「Avatars」が第21回で優秀賞を受賞(共に菅野創との共作)。近年参加した主な展覧会に、「第20回DOMANI・明日展」(国立新美術館、2018)、「呼吸する地 図 た ち 」( 山 口 情 報 芸 術 セ ン タ ー [ Y C A M ] / 2 0 1 8 ) 、「 A r t M e e t s 0 6 門 馬 美 喜 / や ん ツ ー 」( ア ー ツ 前 橋 / 2 0 1 9 )「 東 京 ビ エ ン ナ ー レ 2 0 2 0 プ レ イ ベ ン ト 」( 2 0 1 9 ) 、「 ダ ー ク ア ン デ パ ン ダン」(2020)がある。
最も衝撃的で刺激的な作品でした。やんツーさんの作品はいつも仕掛けや制作方法に驚かされますが、ビジュアルのインパクトはやんツーさんの作品で一番ではないでしょうか?
なんとキャンバスの上に超低速のミニ四駆が走っています。笑
かなり遅いです。低速ミニ四駆単品でも販売されていました。
ミニ四駆・丸見えの装置・ペインティングが混在しているキャンバス空間は混沌としていて非常に面白かったですし、小学校くらいの時にミニ四駆でよく遊んでいた世代なのでニヤニヤしながら観ていました。
香月恵介 | Keisuke Katsuki (EUKARYOTE, Tokyo)
1991年福岡県生まれ。2016年東京造形大学大学院造形研究科美術専攻領域 修了。モニターの表示構造である画素(ピクセル)を絵画で再現し、画面の発光を絵具に物理的に置き 換える「ピクセルペインティング(pixel painting)」を主に制作する。クロード・モネやJ.M.W.ターナーの絵画の援用や、RGBライトを使用した「Lux」シリーズを手掛けるなど、現代における光と絵画の関係性を考察している。主な個展に「ELAPSE」(SEZON ART SHOP/2020)「、Hope’s harbinger」(EUKARYOTE/2019)等。
関西では観る機会が少なく、なかなか観ることができませんでしたがやっと観れました。
RGB3種の発光するイメージを一つの画面上に描いたタブローに対し、RGB3色のライティングを重ねるインスタレーションを用いた作品「Lux」と、CMY(シアン、マゼンタ、イエロー)の絵具を画面上で混色することによって現れる灰色の絵画面に、ディスプレイ表示においては理論値であり、本来は吸収されているはずのRGB輝度値がランダムに表記された新シリーズ「Noumena」が展示されていました。
特に「Lux」シリーズは、かなり離れたり写真の画像で見ればはっきりと像が浮かび上がってくるのですが、近寄って観るとCMYの絵具の集積にしか見えません。三色の照明でライトアップされており、ブラウン管テレビの映像を観ているかのような不思議な絵画でした。
見応え十分の展示でした。本日までですが皆様是非!
DELTA Exhibition(デルタ・エキシビション)
2021.7.2 [Fri] – 7.31 [Sat]