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【書籍レビュー】MoMAを舞台にした原田マハの短編小説「モダン」

原田マハ「モダン」

私の大好きな小説家である原田マハさんの短編小説が素晴らしかったので紹介させていただきます。

原田マハさんと言えば、「本日は、お日柄もよく」「キネマの神様」など、ドラマや映画化された小説を多数執筆されており、日本を代表する人気小説家です。

一方で、早稲田大学第二文学部美術史学専修を卒業され、森美術館の設立準備室や、MoMA(ニューヨーク近代美術館)に勤務され、現在はフリーのキュレーターとしても活躍されています。

そのため、アートを題材にした小説も多く、ピカソ やゴッホをモチーフとした傑作を多数出版されています。

原田マハさんの小説は基本的に長編が多いのですが、今回の「モダン」は短編小説集で、以下の5つの物語で構成されています。

  • 中断された展覧会の記録
  • ロックフェラー・ギャラリーの幽霊
  • 私の好きなマシン
  • 新しい出口
  • あえてよかった

表紙はアンリ・マティスの「ダンス」で、タイトルの「The Modern」はすべての物語の舞台となる、MoMA(ニューヨーク近代美術館)の愛称です。

すべての物語が繋がっているわけではないのですが、「MoMA」と「アート」という共通項目があるため、不思議と連続した一つの物語のように感じることができ、短編小説らしからぬ、一つの大作を読み終えたような充実感を感じることができます。

また、MoMAで働いていた原田マハさんだから描ける細かな設定や描写(特に学芸員)が、普段私たちが知り得ない世界のことをたくさん教えてくれるため、非常に勉強になりました。

原田マハさんのファンだけではなく、アートが好きな人なら必ず楽しめるであろう素晴らしい書籍でした。

おすすめです、ぜひ読んでみてください。

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