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【コレクション講座】コレクターは何を観ているのか?<略歴(CV)編>

コレクターは何を観ているのか?<略歴(CV)編>

この企画では、コレクターである私が、作家さんを調べる際に、重要視しているポイントをいくつか紹介していきたいと思います。

今回は「CV」について説明していきます。

CVとは「Curriculum Vitae」の略で、作家の年齢や出身地・出身学校・展覧会歴・受賞歴などが記載されたものです。日本語では「略歴」になります。

CVは様々な作家の情報が記載されているため、CVを見ることで、どの程度活躍しているのか大体はイメージすることができます。私がそれぞれ注目している項目について解説していきます。(全て個人的な意見ですのであくまでも参考程度にお願い致します)

英語表記がされているか ☆☆

コレクターとしては、コレクションしている作家が、より大きな舞台で活躍して欲しいと思うはずです。
国際的な活躍ができるのは一握りの作家ですが、そもそも国内での活動しか考えていなければ、可能性は限りなくゼロに近いと言えるでしょう。現実的に難しくても、国際的な活動を念頭に置いておくことは必要だと思いますので、自身のHPなどで日本語表記と共に英語表記をしているか否かは確認するようにしています。

ギャラリーHPでの記載などは、作家さんではどうにもできませんが、ギャラリーこそ英語表記もしておいてほしいなと思いますね。展示するギャラリーを選ぶ際のポイントにもなりそうですね。

年齢 ☆

それほど影響があるというわけではありませんが、私自身、同年代であったり、自分より下の世代の作家を応援したいなという思いがあるので、少し気にするようにしています。

出身校 ☆☆

これもそれほど重要というわけではありませんが、卒業してすぐのような若手作家の場合、出身校が展示機会に影響する場合があります。これは〇〇○の出身だから展示機会が減るというわけではなく、講師陣が充実している大学出身の場合、講師陣が企画したり関係している展示に出展できる可能性があります。

例えば、京都芸術大学だと、椿昇や名和晃平が講師を務めていることにより、京都芸術大学関連作家のグループ展やArtist’s Fair Kyotoの出展、SANDWICH関連のホテルアンテルームやスターバックス京都BAL店での展示など、コレクターが注目する場所での露出が増えるメリットがあります。

また、各学校の指導方針には大きく差があり、作家の特徴やレベルも大きく異なるように感じます(ここでは語りませんが…)。もちろん、全体的な傾向というだけで、そこから外れる人もいるのが面白いところですね。

展覧会歴 ☆☆☆☆

私自身、一番重要視しているポイントです。
参加している展覧会の数が多いということは良いことだとは思いますが、ある程度コンスタントに展覧会に参加しているのであれば、多いことはそれほど重要ではないと思っています。それよりも、どこで展示をしているのかということに着目しています。

  1. <国外>メガギャラリー(PACE GALLERY、DAVID ZWIRNER、Gagosian、PERROTIN など)
  2. <国内>メガギャラリー(SCAI THE BATH HOUSE、小山登美夫ギャラリー、OTA FINE ARTS など)
  3. <国内>作家を抱えるプライマリーギャラリー(現代アートに特化、個展を開催する作家の数をある程度絞っている)
  4. <国内>作家を抱えるプライマリーギャラリー(現代アートに特化、個展を開催する作家の数が多い)
  5. <国内>作家を抱えるプライマリーギャラリー(現代アートに特化していない)
  6. <国内>貸し画廊的なギャラリー

上記しているリストは、私の個人的な分類です。

数字が若いギャラリーほど、より影響力がありますが、私のようなサラリーマンコレクターだと、残念ながら 1. はまず無理、 2. は新人作家で小作品であればなんとかというところです。
買える資金とチャンスのある方は、1. 2. がいいと思うのですが、サラリーマンコレクターの場合、 3. 4. のギャラリーで展示歴があるのかというところはよく見られているのではないかと思います。

逆に、展示歴に 5. 6. のようなギャラリーばかり記載されていた場合、マイナスイメージになってしまいます。現代アートのフィールドで戦っていくのであれば、展示するギャラリーもしっかり考えていく必要がありますね。

受賞歴 ☆☆

これも重要ではあるのですが、私自身は賞はあまり重視していません。それよりも、有名なアワードの最終選考に残っていたのかが重要だと思います(例えばVOCA賞なんかも、過去の受賞者やノミネート作家を見ていると、必ずしも受賞者がビッグになっているわけではありません)。

あくまでもプラスアルファの情報であり、受賞していなかったり、アワードにノミネートされていなくても特に問題ないかなと思います。

コレクション ☆☆☆

これは結構重要だと思います。若手作家の場合、美術館に収蔵されるのはあまり現実的ではありませんが、ベテラン作家の場合、美術館に収蔵されているか否かが、キャリアがどれだけ評価されているのかの参考になるので、必ず見るようにしています。

最近はコレクターの名前を冠したコレクションもいくつか見られますが、やはりそういったコレクターは、他への影響力も強く、作家のキャリアにも大きく関わってくるので、非常に重要なポイントかと思います。

以上、私が見ているCVのポイントについて説明してみました。

これは個人的な解釈ですし、私自身も全てこういった判断基準で全てのコレクション作品を選んでいるわけではありません(やはり感覚的に良いと思えるものをコレクションしています)。

今後も、一つの意見として楽しんでもらえるように、今回のようなコレクターの視点をまとめていきたいと思います。

 

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