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現在、大阪のTEZUKAYAMA GALLERYで開催中のコレコレ展ですが、コロナ禍により来阪することが難しい方に向けて、展示風景と作品を紹介いたします。

今回は、推薦コレクターの1人である私、播磨のコレクション作品と推薦作家の展示・販売作品を紹介していきます。会場に掲示されているコメントも記載しておりますので併せてどうぞ。

コレクション作品

石原梓

「ググった場所へ #2」
2020
Acrylicand charcoal on canvas
727 × 530 mm

この作品は、ビジネスマンの牧野圭さんとアーティストの吉見紫彩さんが企画した「現代アートと出会う日」というプロジェクトのアフターオークションで出会った作品です。 石原さんらしい美しいグラデーションに、水辺のワンシーンが描かれた作品ですが、クネクネとした不思議な線が描かれています。線を入れなくても作品は成立していたと思うのですが、そこに一歩踏み出した挑戦が、石原さんの新たな可能性を感じたためコレクションしました。 私には不思議な線が風に見えるのですが、皆さんは何に見えるでしょうか?

播磨コレクションキャプション
 
「the dog」
2020
Acrylic emulsion and pigment on canvas
220 × 273 mm

この「the dog」は、石原さんのスタジオに遊びに行った際に、ストックされていたのを見つけてコレクションした作品です。宇宙空間を連想させるような美しい背景に「dog」と思わしき黒い棒のようなものが描かれている作品ですが、実はこの黒い棒は、川で流れていた木の枝をモチーフにしているようです。偶然川に流れていた木の枝から、この作品を生み出す感性に感激し、ワクワクしたことを覚えています。小さい作品ですが、石原さんの魅力が詰まった作品です。

播磨コレクションキャプション
 

飯田美穂

「Hortense 2019 ,Deras」
2019
Oil on canvas
530 × 455 mm

「Hortense 2019, Degas」は、エドガー・ドガの「Portrait of Mlle. Hortense Valpinçon」がモチーフで、「 ∵ 」で表現された顔や優しい色彩が飯田さんらしく気に入ったためコレクションした作品です。モチーフである「Portrait of Mlle. Hortense Valpinçon」は、幼なじみの娘を描いた作品なのですが、キャンバスがなかったため、マットレスの切れ端に描いた作品と言われています。キャンバス以外のものに描くという点で、ビンテージガラスや麻布など様々な支持体に描く飯田さんとも何か繋がりを感じさせる作品です。

播磨コレクションキャプション
「kiyomizu 2018」
2018
Oil on canvas
333 × 242 mm 

初めて飯田美穂さんの作品を拝見したのが ART OSAKA のFINCH ARTSのブースでした。そこで出会った「kiyomizu 2018」は、鈴木春信の「清水の舞台より飛ぶ美女」をモチーフにした作品で、コーヒー豆を入れているような麻布にゆるーく日本画モチーフの絵が描かれているのが面白く、一目で気に入りました。青シールが貼られていたのですが、運よくコレクションできた思い出深い作品です。

播磨コレクションキャプション
 

山田千尋

「feeding」
Oil on canvas
530 × 455 mm

この「Feeding」は、私の妻が出産や体調不良で入院しているタイミングで出会い、この絵のような未来が早く訪れて欲しいという想いを込めてコレクションした作品です。無事子供も生まれ、妻も退院した今、私にとってこの作品は「宝石」のような大切な作品となりました。

播磨コレクションキャプション

出展作品

宮原野乃実

宮原野乃実さんは、ARTISTS’ FAIR KYOTOへの出展や、今年の5月に発売された雑誌「CASA BRUTUS」のNEW GENERATIONで紹介されるなど、注目を浴びる作家です。数年前に、代表作である「ざくろ」シリーズをオンラインで拝見した際に、陶製手榴弾とジオラマという素材としても時代としても全く異なる組み合わせが、様々なことを連想させ、こちら側の想像力が試されているようでとても面白いなと感じました。お話しを伺うと、作品の舞台となる現地に赴き、徹底したリサーチを行い、その土地で集めた素材と既製のジオラマ模型と組み合わせることで、その土地の物語を作品として表現しているようです。一見、キャッチーな作品にも見えますが、背景には様々な歴史や物語が潜在しており、それを軽やかに表現しているところに凄さを感じます。宮原さんのフィールドワークにより生まれる物語のような作品を、いつか私もコレクションしたいと思っています。

 

御村紗也

ここ数年、ペインティングに版画技法を取り入れて表現する若手作家が増えてきていますが、御村紗也さんはその中でも私が最も注目している作家です。御村さんの作品は、普段目にするような景色や物をモチーフに、ペインティング・シルクスクリーン・スプレーなどの様々な技法で描かれており、柔らかな線や淡い色味の背景が、どこかノスタルジーで優しい雰囲気で、とても心地いい作品です。ラメを含んだインクや光沢感のある絵具など様々な画材を使用しているため、光の当たり方や角度によって見え方に変化が生まれる点も、とても面白いなと感じます。現役の大学院生でありながらこの完成度… 今後どのような作家となっていくのか、本当に楽しみです。

 

山田千尋

山田千尋さんは、昨年開催されたGallery Nomartの公募展「U35」に選ばれた新進気鋭の作家です。山田さんは、ゲロ・怪我・プロレス・赤ちゃんなど全く共通性の見られない独特なモチーフを、迷いのない軽やかなドローイングや、一見すると水彩画のようにも見える独特な彩色のペインティングで表現しています。代表作とも言えるゲロや帯状疱疹がモチーフの作品は、どう考えても不快なモチーフなんですが、見ていても不思議と嫌な感じがせず、むしろ美しく感じる時もあるという、全くもって訳がわからない作品です(笑)。作品自体も素晴らしいのですが、以前インタビューをとらせていただいた際に、憧れの作家であるエリザベス・ペイトンの作品を「宝石」と表現していたのがとても印象的でした。表面的な美しさと、絵の中に込められた想いや愛情を感覚的に感じているのだと思いますが、そのように絵画を「宝石」と表現できることは本当に素敵な感性だと思いました。これからも、どんな「宝石」のような作品を描いてくれるのか、とても楽しみです。

 

石原梓

石原梓さんは、2016年のシェル美術賞入選や、2019年・2020年のARTISTS’ FAIR KYOTOに塩田千春の推薦で出展するなど、関西を中心に活躍している作家です。石原さんはよく河原を散歩するようで、そこで見た空や川の景色、魚や草などから感じたことを、夕日を思わせるグラデーションや、水の煌めきのような小さな光の粒、風の流れを思わせる自由な線などでキャンバス上に表現しています。私たちが普段から見ているはずの景色も、石原さんの目には、こんなにも美しい世界に見えているのかと思うと、少し羨ましくなってしまいます。これからもどのような美しい世界を私たちに見せてくれるのか楽しみです。

 

飯田美穂

飯田美穂さんは2016年に発売された「美術手帖12月号特集 あなたの知らないニューカマー・アーティスト100」で紹介されているのを見て知った作家です。飯田さんの作品は、オールドマスターの名画をモチーフに、人物画の象徴とも言える顔を「∵」などの記号に置き換え、豊かな色彩や自由な筆跡で描く作風が特徴です。そのゆるーい雰囲気は、モチーフに忠実な作品というより、モチーフとなる作家や作品の徹底したリサーチを行い、飯田さん独自の解釈や表現で新たな作品として生まれ変わらせているように感じます。また、キャンバスだけではなく、ヴィンテージガラスやビニール、鏡など、様々な支持体に描くことで、質感や色合いにそれぞれ違いが生まれている点も飯田さんの作品の面白さだと思います。これからもどのようなオールドマスターの名画を飯田さんの世界観で表現してくれるのかとても楽しみです。

今回ご紹介した作品は、多数SOLD OUTになっておりますが、いくつかの作品は大阪のTEZUKAYAMA GALLERYか、美術手帖のECサイト「OIL」でまだ購入可能です。是非覗いてみてください。

OIL 作品販売サイト


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