【プレイバック】アートアワードトーキョー 丸の内
今年もこの季節がやってきました。
大学や大学院を卒業した若手の登竜門ともいえるイベント「アートアワードトーキョー丸の内」です。
「アートアワードトーキョー 丸の内 」(以下、AATM)は、行幸地下ギャラリーを中心とした、丸の内、有楽町、大手町エリアを会場に、若手アーティストの発掘・育成を目的とした現代美術の展覧会として開催いたします。全国の主要な美術大学・芸術大学・大学院の卒業修了制作展を訪問し、その中から発掘したノミネート作品より、さらに厳選した作品を展示。審査員による最終審査を実施し、グランプリや審査員賞などを決定します。丸の内は今後も、文化・芸術の発信地としてアートとの出会いの場を創り出し、若いアーティスト達の可能性を広げていきます。次世代を担うアーティスト達の清々しく斬新な感性が一堂に会する丸の内で、ぜひお楽しみください。
アートアワードトーキョー公式HPより引用 http://www.artawardtokyo.jp/2020/about.html
今年も面白い作家が多数選ばれていますが、今回は過去の受賞者について年代別に調べてみたいと思います。
2019年
- グランプリ/Grand Prize 小嶋晶
- 丸の内賞(オーディエンス賞) 新宅加奈子
- A.A.T.M.2019三菱地所賞 芦川瑞季
- 今村有策賞 小林椋
- 木村絵理子賞 影山萌子
- 後藤繁雄賞 中澤ふくみ
- 小山登美夫賞 谷口智美
- 高橋明也賞 中根唯
- 建畠晢賞 髙橋稜
- 現代芸術活動チーム「目【mé】」賞 岩村拓哉
- 加藤泉賞 渋谷七奈
- 伊藤圭子賞 丹羽優太
- フランス大使館賞 山本捷平
http://www.artawardtokyo.jp/2019/
グランプリの小嶋晶は京都府新鋭選抜展で拝見しましたが、とてもいい映像作品でした。筆者も期待している作家の一人です。
2019年のメンバーで特に活躍されているのが、新宅加奈子と山本捷平でしょうか。お二人は以前インタビューに答えてくださいました。
2018年
- グランプリ 檜皮 一彦
- a.a.t.m.2018三菱地所賞 松元 悠
- 今村有策賞 持田 敦子
- 木村絵理子賞 副島 しのぶ
- 後藤繁雄賞 岡田 佑里奈
- 小山登美夫賞 顧 剣亨
- 高橋明也賞 佐々木 成美
- 建畠晢賞 池上 怜子
- フランス大使館賞 小瀬 真由子
- 丸の内賞(オーディエンス賞) 川田 龍
http://www.artawardtokyo.jp/2018/
この年もいい作家が多いですね。岡田佑里奈と顧 剣亨は非常にクオリティの高い写真作家でこれからの写真ジャンルを引っ張っていく存在と言えるでしょう。
川田龍はブレイク前夜展でも大作を展示しており話題ですね。
2017年
- グランプリ 泉 桐子
- a.a.t.m.2017三菱地所賞 藤原 葵
- 今村有策賞/フランス大使館賞/丸の内賞(オーディエンス賞) 奥村 彰一
- 木村絵理子賞 小﨑 絵美子
- 後藤繁雄賞 本山 ゆかり
- 小山登美夫賞 国川 広
- 高橋明也賞 田中 陽子
- 建畠晢賞 新井 あかね
- シュウウエムラ賞 山田 茜
http://www.artawardtokyo.jp/2017/
この年で個人的に注目している作家は本山ゆかりと藤原葵です。
藤原葵はあいちトリエンナーレ2019で長さ15メートルの作品を出展されていました。エネルギーに満ちた作風ですが女性らしい繊細さも併せ持った期待の作家です。
本山ゆかりは以前インタビューを受けていただきました。シンプルな作風に見えますが、非常に考え込まれた作風でかなり奥が深い作家です。時代が本山さんに追いついていないように感じるので、いつか一気に大ブレイクするのではないかと密かに思っています。
2016年
- グランプリ 村田 勇気
- 三菱地所賞 吉田 桃子
- 今村有策賞 渡邊 拓也
- 木村絵理子賞 表 良樹
- 後藤繁雄賞 高山 夏希
- 小山登美夫賞 丸山 純
- 高橋明也賞 中村 萌
- 建畠晢賞 水谷 昌人
- シュウ ウエムラ賞 香月 美菜
- フランス大使館賞 村上 早
http://www.artawardtokyo.jp/2016/
私が関西を拠点にしているからかもしれませんが、関西の作家が活躍していますね。吉田桃子はAFK2020にも選ばれている新鋭ですし、表良樹・中村萌・水谷晶人・香月美菜は実力のあるいい作家です。
2015年
- グランプリ 西 太志
- 三菱地所賞/今村有策賞 田中 彰
- 神谷幸江賞 田島大介
- 後藤繁雄賞 玉山拓郎
- 小山登美夫賞 大和美緒
- 高橋明也賞 小林あずさ
- 建畠晢賞 額賀苑子
- シュウ ウエムラ賞 奥村彰一
- フランス大使館賞 鈴木のぞみ
http://www.artawardtokyo.jp/2015/
この年もいい作家が多い印象です。奥村彰一は2年後にも賞を受賞していますね。西太志や大和美緒は関西で非常に注目されている作家です。特に大和美緒はホテルアンテルーム那覇でとんでもない作品を制作展示しています。玉山拓郎はOILのギャラリーの柿落としで個展を開催されていました。
2014年
- グランプリ 谷中 佑輔
- 今村有策賞 福本 健一郎
- 神谷幸江賞 齋藤 杏奈
- 後藤繁雄賞 藤井 マリー
- 小山登美夫賞 佐々田 美波
- 高橋明也賞 原田 圭
- 建畠晢賞 笹岡 由梨子
- 倉本美津留賞 北島 麻里子
- 三菱地所賞 水野 里奈
- シュウ ウエムラ賞 朝倉 優佳
- フランス大使館賞 崔 多情
- アッシュ・ペー・フランス賞 高山 夏希
- オーディエンス賞 杉浦 由梨
http://www.artawardtokyo.jp/2014/ja/
この年で言うと笹岡 由梨子と水野 里奈、福本 健一郎を注目しています。福本 健一郎は国立新美術館内ミュージアムショップで個展を開催されて話題でした。
水野 里奈はMIZUMA ART GALLERYに所属しており今後も作品発表する場がどんどん増えてくるでしょう。
笹岡 由梨子は何度か作品を観たことがありますが、一度見たら忘れられない映像作品です。YouTubeを始めるなど積極的な行動力は今後楽しみな作家です。
2013年
- グランプリ 謝花翔陽
- 準グランプリ 宮下幸菜
- 松井冬子賞 郷治竜之介
- 天野太郎賞 伊勢周平
- 植松由佳賞/長谷川祐子賞 比果彩
- 後藤繁雄賞 髙畠依子
- 木幡和枝賞 柄澤健介
- 小山登美夫賞 中村奈緒子
- 佐藤直樹賞 大平由香理
- 高橋明也賞 大和美緒
- 三菱地所賞 平川恒太
- シュウ ウエムラ賞/アッシュ・ペー・フランス賞 吉田芙希子
- フランス大使館賞/オーディエンス賞 野原万里絵
http://www.artawardtokyo.jp/2013/ja/
平川恒太は神宮の杜芸術祝祭やさいたま国際芸術祭2020にも選ばれている作家です。柄澤健介はAFKにも選ばれていた作家で、京都の新風館の「THIS IS SHIZEN」というSHOPで名和晃平・新宅加奈子と共に展示販売されています。
2012年
- グランプリ 片山真理
- 準グランプリ 潘逸舟
- 天野太郎賞 糸川ゆりえ
- 植松由佳賞 柳井信乃
- 長谷川祐子賞 吉田晋之介
- 後藤繁雄賞 井上康子
- フランス大使館賞/木幡和枝賞 金光男
- 小山登美夫賞/オーディエンス賞 中園晃ニ
- 佐藤直樹賞 有坂亜由夢
- 高橋明也賞 椿﨑千里
- 三菱地所賞 升谷真木子
- 加藤泉賞 上村静
- シュウ ウエムラ賞 神谷麻穂
- アッシュ・ペー・フランス賞 水野里奈
http://www.artawardtokyo.jp/2012/ja/
この年は片山真理が売れっ子ですね。2013年のあいちトリエンナーレで拝見して衝撃を受けたことを今でも覚えています。
潘逸舟はANOMALY所属で「日産アートアワード2020」のファイナリストに選出されるなど勢いのある作家です。
2011
- グランプリ 小山真徳
- 準グランプリ 今井悠子
- 天野太郎賞 揚妻博之
- 植松由佳賞 呉弦佑
- 木幡和枝賞 江上真織
- 長谷川祐子賞 伊藤彩
- 後藤繁雄賞 川島崇志
- フランス大使館賞 今井悠子
- 小山登美夫賞 謝花翔陽
- オーディエンス賞 桑田朋以
- 佐藤直樹賞 菅原有生
- 高橋明也賞 山本理恵子
- 小谷元彦賞 柴田英里
- シュウ ウエムラ賞 伊藤彩
- アッシュ・ペー・フランス賞 小室貴裕
http://www.artawardtokyo.jp/2011/ja/
この年はお名前を知っているくらいの作家が多いですね…。
2010年
- グランプリ 松島俊介
- 準グランプリ 岩名泰岳
- 天野太郎賞 枝史織
- 植松由佳賞 黒川潤
- 木幡和枝賞 戸田沙也加
- 長谷川祐子賞 山崎由紀子
- 後藤繁雄賞 松下徹
- 小山登美夫賞 佐藤翠
- オーディエンス賞 寺口朝菜
- 佐藤直樹賞 松隈無憂樹
- 名和晃平賞 川上雅史
- シュウ ウエムラ賞 小浪次郎
http://www.artawardtokyo.jp/2010/ja/
この年は、松下徹と佐藤翠でしょうか。松下徹はサイドコアのディレクターとしても活躍しています。佐藤翠は小山登美夫賞を獲得しましたが、現在はTOMIO KOYAMAの所属になっていますね。
2009年
- グランプリ wah(南川憲二+増井宏文)
- 準グランプリ 伊藤彩
- 天野太郎賞 平川ヒロ
- 飯田志保子賞 宮永亮
- 木幡和枝賞 藤居典子
- 長谷川祐子賞 村田宗一郎
- 後藤繁雄賞 三井美幸
- 小山登美夫賞 寺村利規
- オーディエンス賞 佐藤万葉
- 佐藤直樹賞 松田啓佑
- 高橋明也賞 神馬啓佑
- 村上隆賞 辻基拓
- シュウ ウエムラ賞 河野里沙
- 三菱地所ビルマネジメント賞 藤井実佳
http://www.artawardtokyo.jp/2009/ja/
神馬啓佑はいつかコレクションしたいと思っている作家です。指で10分以内に描くシリーズの作品がいいですね。
村田宗一郎は現在京都のFINCH ARTSとkumagusuku SASの2会場で個展を同時開催しています。
2008年
- グランプリ 大田黒衣美
- 準グランプリ 明石雄
- 天野太郎賞 山路紘子
- 飯田志保子賞 鈴木光
- 木幡和枝賞 藤本涼
- 長谷川祐子賞 足土嘉奈子
- 後藤繁雄賞 村上滋郎
- 小山登美夫賞 風能奈々
- 佐藤直樹賞 大賀陽子
- 高橋明也賞 加納明日香
- やなぎみわ賞 土ヶ端大介
http://www.artawardtokyo.jp/2008/
この年は風能奈々でしょう。 最近どんどん作品が洗練されてきている感じがします。TOMIO KOYAMA所属で価格も上がってきていますね。いつか欲しいな。
2007年
- グランプリ 荒神明香
- 準グランプリ 内海陽介
- 特別賞 萩原健一
- 特別賞 大崎晴地
http://www.artawardtokyo.jp/2007/home/
グランプリびっくりしました。12年後に「目【mé】」賞として審査員となるとは思ってもいなかったでしょうね。個人・グループともに今後も大注目です。
以上、過去の受賞者をまとめてみました。
この賞に選ばれた人は、日本の美術系学校の卒業生の選抜中の選抜と言えますが、2020年現在で大活躍している人は一握りです。
国際的な活躍という点では、現状ほとんどいない状況といえるでしょう。
いかにアーティストとして成功することが大変か、生き残っていくことが難しいかということを記事を書いて痛感しました。
まだまだ、始まって12年のアワードですし、受賞者で今後期待できる作家も多数おられます。
これから世界へ羽ばたいていく作家が出てくることを期待しています。