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bandwagon effect についての報告とご挨拶

少しご報告が遅くなってしまいましたが、

「bandwagon effect」は、展示は3/6、オンラインは3/12で無事に終了することができました。

これも、ご参加いただいた作家様、ご協力頂いたアート関係者やメディア・会場関係者、そしてご来場頂いた皆様のお力添えがあってこそだと思っております。

本当にありがとうございました!

今回の展示は作家名を非公開にすることで、純粋な鑑賞体験を提供することをコンセプトとしていました。そのため、出展作家からの展示告知や、私やご来場者の方も作家名をシェアできないため(画像の投稿は可能)、集客が課題であると考えておりました。

実際、初日の金曜日は来場者が少ない状況でしたが、2日目はオープン前から何人か並んでくださるなど、結果として3日間で118人のお客様に来ていただき、オンラインは1145人の方に閲覧していただきました。

これだけの素晴らしい作家さんに参加して頂いたことを考えると、正直まだまだ少ない状況ですが、次回以降の課題として考えていきたいと思います。

 

作品について

そして何よりも今回の展示、企画者の私が言うのもなんなのですが、本当に素晴らしい作品ばかりでした。

こんな、一サラリーマンコレクターの声かけに反応してくださり、情報が伏せられるという作家さんにもメリットが少ない展示であるのにも関わらず、素晴らしい作品を出展して頂いたことがとても嬉しかったです(設営後に展示作品を観て少しウルっとしそうになりました)。

すべての作品をコレクターさんの元に届けることができなかったことが本当に申し訳ありませんが、素晴らしい作品をありがとうございました。

今回は匿名の展示ということもあり、あえて少し作風を変えたり、新しいシリーズの作品を出す作家さんもいれば、その作家さんを象徴するようなシリーズの作品を出すなど、作家さんによっても様々でした。

基本的には作家さんにはある程度のサイズ感以外の指示はしていませんので(谷本真理さんに関しては、メインシリーズである陶器作品より昨年辺りから制作されているペインティングのシリーズをお願いしました)、最終的な作品情報が届くまでどんな作品かわからなかったのですが、どれも予想を大きく超える素晴らしい作品ばかりでした。

 

空間について

また、今回の会場となったBlend Studioの空間も抜群で、独特の空間の作り方や、コンクリートの質感が、ホワイトキューブでは見ることのできない作品の見え方を生み出してくれました。

また、1〜3階の合計8エリア+階段での展示が、体験としても面白いものになったのではないかと思います。

この会場でなければ今回の展示は完成しなかったと思いますし、本当にこの会場で開催させて頂いて良かったと思っています。

 

設営に工夫は必要ですが、現代アートとの相性は非常に良い空間であるため、展示会場を探されている作家さんなどは検討されてみてはいかがでしょうか?何人かで借りて展示するのもありかと思います。展示方法などについてもアドバイスできるかと思いますのでまた質問してください。
会場の公式HPはこちらです➡︎ Blend Studio

 

ご来場者様の様子や感想

今回の展示では、情報が無いためか皆様の鑑賞時間が非常に長い印象でした。特にコレクションを検討されている方は、かなり悩まれており、2〜3時間悩んでいる方もおられました。

また、私がSNSに投稿していた画像を見て、あるアーティストの作品を目当てに来られたコレクターの方がおられたのですが、作品の前で1時間ほど「名前に引っ張られているのかもしれないと思って悩んでいます…」と悩まれていました。

最終的には悩んで購入されなかったのですが、今回の企画の趣旨を理解してくださったが故に感じて頂けたことなのかなと思います。
私の経験として情報に引っ張られてコレクションした作品は、少し後悔することが多いので、このコレクターさんは購入を見送られて正解だったのではないかと思います。

 

他にも、今回の企画のコンセプトについてはたくさんの好意的なご意見を頂きました。
やはり私と同じように感じているコレクターの方も多いようで、共感してくださる方がとても多く、特に会場入り口部分に掲示していた以下の展示キャプションに関しては、非常に反響が大きかったです。

突然だが、米国の経済学者であるハーヴェイ・ライペンシュタイン氏が提唱した ”バンドワゴン効果” をご存じだろうか?

“バンドワゴン効果” とは「ある選択を支持する人が多いほど、その選択に対する支持がより強くなる現象」で、群衆心理における同調現象の1つと言われている。 

簡単にいえば「社会の潮流に乗る」に近い意味で、経済学・社会学・政治学などの分野で用いられる言語である。

流行するものを好む傾向にある日本人は、「みんながやっているから」
「みんなが買っているから」という理由に基づく安心感、購買欲求などによる
 ”バンドワゴン効果” により、このバイアスにかかりやすいと言われている。 

なぜ、このような話をするかと言うと、私自身、“バンドワゴン効果” を身をもって実感している一人であるからだ。 

私はアートコレクターと名乗り、日々アート鑑賞やコレクションしたりしてアートを楽しんでいるが、コレクションを進めていくうちに、流行のアーティストを追いかけてしまう(追いかけようとしてしまう)自分がいることに気づいた。 

流行しているアーティストの作品リストを求めたり、グループ展でも作品情報に目がいくようになり、目の前の作品とゆっくり対峙する時間が少なくなってしまったように感じていた。 

また、一方で美術館やパブリックアートなどの物理的に買えない展示や作品を観たとき、心穏やかにアートと向き合うことができ、なぜか安堵感が湧いてくることが多くなっていた。 

少々、ネガティブなニュアンスで語ってしまったが、流行のアーティストを追いかけることは、決して間違いではない。

むしろ、コレクションの価値を高めていくことやコレクターとしての立ち位置を高めることや、アートマーケットが活性化する意味では、流行のアーティストを追いかけていくことは正解ともいえるし、向かうべき方向なのかもしれない。そのことに関しては否定はしないし、私も流行のアーティストはしっかり観ていきたいと思っている。 

ただ、私自身 ”バンドワゴン効果” を知り、影響を受けないように意識し始めてから、以前よりアートと対峙できるようになったと感じる。

雑念を取り払うことで作品と向き合え、自分自身の本当の好みや作品から感じることを、より深く考えられるようになったのではないかと思う。 

そうした体験から、可能な限り影響を少なくした鑑賞体験やコレクション体験を作りたいという思いが生まれ、「bandwagon effect」(“バンドワゴン効果” = bandwagon effect を取り消した )というタイトルの本展を企画した。 

現実的には作品を観ればある程度アーティストがわかってしまうので ”バンドワゴン効果” の影響を完全に無くすことは不可能であるが、大きな要因ともいえる「情報」を可能な限り排除することで、通常の鑑賞とは異なるアートの見え方や体験が生まれるのではないかと思う。 

「bandwagon effect」で、 最もシンプルかつ奥が深い、アートの鑑賞体験を楽しんでもらえたらと思う。 

週末の。アート

播磨勇弥

 

現代アートコレクションの世界は、資金のあるコレクターからサラリーマンコレクター、転売屋まで、様々なプレイヤーが参戦している状況です。

たくさんの資金を持ったコレクターであれば、どんどんコレクションしていけますが、私のように一般的なサラリーマンだと購入できる資金が限られます。正直、ほとんどが資金的な面で見送ることが多いのが現状です。

そのため、一つの作品をコレクションするか否かでとても頭を悩ませ、長い時は何ヶ月も考えます。苦しいほど悩みます。正直苦しいです…

そのとき、どうしてもSNSでの情報などに引っ張られ過ぎてしまい、純粋に作品を対峙できていないと感じることが多くなってきていました。

でも、「人気は出るかな?」「価値は上がるかな?」みたいな感覚でコレクションした作品よりも、「いい作品だ、この作品を家に飾りたい」という気持ちでコレクションした作品の方が我が家のメインスペース(といっても普通のリビングですが…)で飾られていることが多く、私たちに多くのことを与えてくれる気がします。

やはり高額な作品となると資産性などが重要になってくるので、上記のような考えよりも重視しないといけないことが沢山ありますが、高額な作品を買わない(買えない)私たちサラリーマンコレクターだからこそ、そういった純粋に作品と向き合う体験ができるし、そういった体験を提供できるのではないのかと思い、この企画を発案しました。

今回、沢山の反応を頂いたり共感してくださる方がとても多く、同じように考えているコレクターさんが多いことに気づくことができました。そういった皆様とディスカッションできたことで、自分のコレクターとしての方向性やこれから何をすべきかということを改めて考えることができました。

 

設営・準備について

これは、想像以上に大変でした。

設営・撤収以外にもやることが多過ぎます(作家さんとの情報共有、会場との調整、アルバイト管理、DM作成、HP作成、情報整理、広報、作品の運搬、作品の保管、作品の配送、購入のやりとり etc…)

数ヶ月前から土日は準備で潰れ、平日も毎朝4時くらいに起きて準備していました。

展示を企画するのが初めてであったことと、会場が特殊(会場の壁に穴を開けられない、設営の時間が限られるなどの制約あり)ということで、様々な調整をする必要があったことも影響していると思いますが、ギャラリーの仕事の大変さを実感しました。

また、今回は運営者手数料40%の割合で実施し、ギリギリ黒字になりましたが、継続してスペースを確保しながら行うギャラリーの形態では到底成り立ちません。

大体のギャラリーは作品販売価格の50%の手数料をもらっており、以前までは貰いすぎではないかと思っていましたが、この企画を終えて、妥当な割合だなと感じました(今回の私の企画が単発なので、継続してスペースを確保するとなるともっと大変だと思います)。

いろいろな現実を知り、少しギャラリーを見る目が変わった気がします。笑

 

まとめ

今回、皆様のご協力のおかげで、とても良い展示を開催し、終了することができました。

私自身も学ぶことが非常に多く、今後の活動に大きく繋がる貴重な体験をすることができました。

素人だからという理由でクオリティーの低い展示にはしたくなかったので、細かなところまで徹底的にこだわり準備をしましたが、終えてみるとまだまだ改善できる部分は沢山ありました。今後もアップデートしていきながらこの企画を継続して開催できればと思っております。

次回はいつになるかわかりませんが、また楽しみにして頂ければと思います。

最後に、繰り返しになってしまいますが、ご参加いただいた作家様、ご協力頂いたアート関係者やメディア・会場関係者、そしてご来場頂いた皆様、本当にありがとうございました!

 

展示風景についてはこちらのサイトの【ONLINE】【Art Work】にまとめておりますので宜しければご覧ください。
bandwagon effect公式HP

 

 

 

 

 

 

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