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【アートレビュー】山田千尋個展「BABY」

山田千尋 Chihiro Yamada 「BABY」

ギャラリーノマルで今週末まで開催中の山田千尋さんの個展「BABY」お伺いしてきました。

山田千尋さんは、以前私が参加した「collector’s collective Vol.4」にて、推薦作家として出展して頂いた作家さんです。

【アートレビュー】コレコレ展 vol.4 Osaka<作品紹介(播磨推薦作家)>

アーティストインタビューにもご協力いただきました。

【アーティストインタビュー】#015 山田千尋

 

今回は昨年の個展に続いてギャラリーノマル2回目の個展です。

【アート情報】軽やかな色彩が注目の新人 山田千尋 個展「unique」

昨年の個展は、様々なモチーフの作品をギャラリー空間に展示することで、山田さんの表現の幅広さを見せてくれる展示でしたが、今回は「馬の目」「みかんに指を刺す」の2つのモチーフが中心です。

 

今回は同じモチーフを題材とした様々なサイズの作品が壁面ごとに複数点展示されていますが、同じモチーフでも描き方や色味がそれぞれ異なっています。

繰り返し同じモチーフを描くことで変化が生まれ、画一的でないモノの見方や感じ方の多様性を提示すると共に、描くことの唯一性=本質を探求することを試みています。

 

みかんの作品は、一見すると似たような作品に見えますが、色や塗り方、緻密さがそれぞれ異なります。
面白いなと思ったのが、みかんの白いすじの部分を白く塗ることで表現している作品と、何も塗らないことで白く表現している作品に分かれていたことです。
前者では最後に白が塗られているため、すじが最前面に出てきており、すじがより強調されていますが、後者では、すじの部分がキャンバス層になるため最背面に配置されており、実のオレンジがより強調されています。

これは、カメラで撮影するときや、私たちが裸眼で物を見るときに、どこにピントを合わせているのかによって見え方が変わっていくように、絵画もどこに視点を持っていくのかで印象がいかに変わるのかということを体感することができました。

どこに視点を誘導するのかということは絵画表現の基本ともいえますが、様々な描き方やサイズの作品を並べることにより、よりその効果を実感できます。

 

ここまで作品が並べられていると、どの順番で描いたのだろうかと疑問が湧いてきます。

ギャラリースタッフの方と、あれではないかこれではないかと一緒に順番を考えて盛り上がりました。正解はわかりませんが、色味や描き方からいろいろと想像してみるのも面白かったですし、色々と見えてくるものがありました。

 

今回は、過去の作品や作品の元となる作品(BABY)も展示されています。
可愛らしい作品で、前回の展示や過去作を知っている人にはたまらない作品群でした。価格も手頃ですし、額に入れると飾りやすい作品なので、気軽に買えてとても良かったです。個人的には葉っぱの作品がとても良かったです。

 

ついつい長居してしまう大満足の展示でした。

今後の活躍がますます楽しみな山田千尋さんの過去から現在の作品を観に行かれてみてはいかがでしょうか?

山田 千尋「BABY」

会期:~2022年3月26日(土)

会場:Gallery Nomart

時間:13:00~19:00

休廊:日曜、祝日

関連イベント
Closing Live “BABY”
日時:3月26日(土)19:30~(開場19:00)
会場:ギャラリーノマル
出演:山本精一、sara (.es)
料金:前売2,500円、当日3,000円
※予約制。電話(06-6964-2323)にて申込。

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