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【アートレビュー】<神々しく優しくも強い生命力> 上原 浩子 個展「境界より – From the Boundary –」

上原 浩子 個展「境界より – From the Boundary –」

大阪のTEZUKAYAMA GALLERYさんで開催されている上原浩子さんの個展を紹介いたします。

上原浩子さんは1985年群馬県生まれ、2012年に京都市立芸術大学大学院美術研究科を修了された作家さんです。
今年開催された、Art for Tomorrow 2021 京都府新鋭選抜展 や台湾のアートフェア ONE ART Taipei 2019 へ出展されており、TEZUKAYAMA GALLERYでの個展は2018年の Deep Forest 以来3年ぶりです。

風のたもと|Foot of the wind

今回は、「トドワラ」という、北海道・野付半島(のつけはんとう)にある異質な場所から着想を得た新作の絵画、立体作品で構成されています。

北海道の東の端に野付半島という少し変わった場所がある。オホーツク海に向かって湾曲しな がら突出する約26kmの細長い砂嘴で、半島を通る一本道の両側には海が迫り遠くに国後島を 臨む。その地に行ったのは4年前のことで、目的は半島の先端部にあるトドワラという場所が見たかったからだ。 湿原の上に立ち枯れたトドマツの残骸が残り、特異な風景を作っているトドワラは「この世の果 て」とも形容される。現在も風化が続き、もうすでに数本の枯れたトドマツが立ち並ぶだけのトドワラは、昔写真で見た光景とは変わっていたが、それでも強く心に残った。

広大な空と海と、ほんの少しの陸地の境界にいた夏の午後を私はきっと忘れないだろう。

昨年はコロナ禍で好きな旅行もほとんどできなかったせいか、昔行った旅先のことを考える時間も多く、トドワラやその周辺の光景のことなど、なんとなくその想いを形にできればと思い続けて いた。
久しぶりに絵を描こうと思った。この文章を書いている時点で未完成だが。 今回展示する作品のすべてがそれに纏わるものではないが、あの日感じた光や風や見た光景を 自分なりに形にできればと思っている。

上原 浩子

<TEZUKAYAMA GALLERY HPより引用> https://tezukayama-g.com/exhibition/hiroko_uehara_exhibition2021
飛天|Hiten -celestial being

個人的な話になりますが、私は普段人の身体に触れる仕事をしており、誰よりも人の体や皮膚を見てきています。

そんな私でも、今回展示されている上原さんの作品は、本当に本物と見紛うような凄まじいクオリティでした。

医療分野での義手・義足や超絶技巧系の作家さんの作品など、クオリティの高いものはたくさん存在すると思いますが、上原さんの作品はとても生命力を感じます。

境界に触れる|Touch the boundary

照明を少し暗くしているため、陰影が生まれていることや、正面の壁に着想を得た北海道・野付半島を描いたペインティングが展示されており、独特の空気感が展示空間に漂っていました。

水鏡|WaterMirror
枝|Branch
箱庭|Miniature garden
untitled

とても素晴らしい展示でした。

6/19まで、皆様ぜひ。


上原浩子 個展 | Hiroko Uehara Solo Exhibition 境界より – From the Boundary –
2021.5.21 金 – 6.19 土
営業時間 : 火 – 土 12:00 – 19:00 | 休廊日: 日・月・祝日
Open: Tue – Sat 12:00 – 19:00 | Closed: Sunday, Monday, Holidays
お問い合わせ : info@tezukayama-g.com / 岡田慎平 (TEZUKAYAMA GALLERY)

TEZUKAYAMA GALLERY

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