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【アートレビュー】大岩オスカール個展「Let’s Go on a Trip!」

大阪のギャラリーノマルで現在開催されている、大岩オスカールの個展「Let’s Go on a Trip!」についてレビューします。

大岩オスカールは、1965年ブラジルのサンパウロで生まれ、東京とニューヨークを拠点に活躍するアーティストで、瀬戸内国際芸術祭への参加や、2018年のサンパウロのJapanhouse、2019年の金沢21世紀美術館での個展や紺綬褒章の受賞など、日本を代表するアーティストの1人です。

2019年の金沢21世紀美術館での個展は本当に素晴らしい展示でした。

金沢21世紀美術館展示風景
金沢21世紀美術館展示風景

ギャラリーノマルでの展示は初めてとなりますが、版画工房でもあるギャラリーノマルらしい版画作品のメインの展示で、メインフロアである一階には、20種類の同一サイズのモノクロの版画作品が額装され展示されていました。

展示空間

今回の展示は、ギャラリーでは珍しく、入り口で解説書を手渡され、鑑賞していく作品の順路のある展示です(強制ではありません)。

入り口で渡される解説書

コロナ禍に翻弄される大岩オスカールの日常がモチーフとなっており、中国でCOVID-19が大流行したタイミングから、大岩オスカールが最低限の日常生活を取り戻せた時までの、様々な経験や風景をデジタルドローイングし、版画として完成させた作品です。

Times Square, New York / タイムズ・スクエア、ニューヨーク

時系列に作品が並んでおり、解説を読みながら右から左へと順番に作品を観ていくことで、コロナと格闘した大岩オスカールの2020年を追体験することができます。

また同時に、自分自身の2020年と照らし合わせながら鑑賞していくことで、激動の一年を振り返ることができ、私たちが生きるこの時代について、様々なことを考えさせてくれます。

Back In My Studio / スタジオに戻る
View From My Window, New York / 僕の窓からの眺め、ニューヨーク

2階では、過去作のペインティングの小作品が展示されていました。

Maracanã

ギャラリーノマル特有の白く高い展示空間に、コロナにより社会のシステムや人の繋がりがモノクロームとなってしまった2020年の世界を表現したモノクロの作品が展示されることによりコロナ禍の世界観が見事に表現されていました。

ギャラリーの展示を超えた、美術館で鑑賞したような充実感が味わえる素晴らしい展示でした。おすすめです。


2020年、世界中がCOVID-19という共通の災禍に見舞われました。
世界各国でのプロジェクトや展覧会は全て延期となった大岩オスカールは、マンハッタンのマンションに籠ったままでできることを考えました。
「幸い僕は自分が感じたことを作品化できるスキルを神様から授かっている」
隱遁生活の中で彼が綴った空想の旅は「Quarantine(*) Drawing Series」として2020年3月~6月の間に20枚が描かれました。

アーティストの空想の旅を全世界と分かち合う版画シリーズ
縁あって大岩オスカールと知り合ったギャラリーノマルのディレクター林聡は、この貴重なドローイングを版画作品として出版することを即決。
「Quarantine Drawing Series」はコンピュータを使って描かれたデジタルデータですが、アーティストの空想の旅を、全世界の人と分かち合う手段としてシルクスクリーンによる版画作品に刻印することにしました。

ノマルでの初個展は新作版画&タブローの展示
サンパウロに生まれ、東京、ニューヨークと移り住みながら創作活動を続ける大岩は、自らの人生を旅に例えています。複数の文化的視点から生まれた社会風刺と物語性に富んだ作品たちは、世界的に大きな注目を集めてきました。
今展ではこのシリーズの他にも、オリンピックをテーマとしたタブロー作品なども展示いたします。

大岩の自由なイマジネーションが描き出した作品の数々、この機会にぜひともご高覧ください。

ギャラリーノマル公式HPより引用

Let’s Go on a Trip!

大岩 オスカール
Oscar Oiwa

2021.2.20(sat) – 2021.3.27(sat)
13:00 – 19:00 日曜・祝日休廊

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