【アーティストインタビュー】 近藤 大祐
- 静岡県生まれ
- 2018 年 京都造形芸術大学 大学院 芸術専攻 ペインティング領域 修了
「 京都造形芸術大学 大学院 修了制作展」で優秀賞を獲得し、昨年シドニーで開催されたアートフェア 「Sydney Contemporary」への出展や、京都の若手作家の登竜門ともいえる「京都新鋭選抜展」に F120 号 の大作の展示、「月刊アートコレクターズ 3 月号」の完売作家特集で紹介されるなど、勢いのある若手ア ーティスト。
アートフェアやグループ展でよく作品を拝見しており、気になっていた作家さんです。注射器で描くという唯一無二の技法で描かれた作品は、圧倒的な存在感を放っており、どういったコンセプトで描かれているのか、とても気になっていたため今回インタビューをお願いしました。
自己紹介をお願いします。
作家の近藤大祐と申します。
2018年に京都造形芸術大学の大学院を修了しました。 現在も京都にアトリエを構え作家活動をしています。
2018年に京都造形芸術大学の大学院を修了しました。 現在も京都にアトリエを構え作家活動をしています。
作風やコンセプトを説明してください。
僕は風景をテーマに絵を描いているんですけど、作風としては注射器に絵具を積めて物質的に画面が盛り上がるように画面に説得力を持たせています。「色彩」を重視していて、記憶だったり、自分が体感したその場所の想いを色彩というエネルギーに変換することで、「可視化」するというものですね。 作品においてリアリティや現実味ってすごく重要な要素だと思っていて、僕の描く風景は実在しない色彩や質感の風景だけれども、僕にとってはそれは「リアル」なんですよ。
こうやって大げさに実際と違ったことを考えることって一見すると抽象的かもしれないけど、それは一周回って僕のリアルな現実なんじゃないかと。見たものや受けた衝動とかを形象化する。ただ描くんではなくて、その色の一個一個の塊として起こしていくっていうのも描いていて大事な要素ですね。
なので、僕の作品は写真だと伝わりずらいですが、 生で見ると結構マチエールがハッキリとしています。側面にも絵の具が展開されているので、角度を変えた見方も楽しめると思います。
こうやって大げさに実際と違ったことを考えることって一見すると抽象的かもしれないけど、それは一周回って僕のリアルな現実なんじゃないかと。見たものや受けた衝動とかを形象化する。ただ描くんではなくて、その色の一個一個の塊として起こしていくっていうのも描いていて大事な要素ですね。
なので、僕の作品は写真だと伝わりずらいですが、 生で見ると結構マチエールがハッキリとしています。側面にも絵の具が展開されているので、角度を変えた見方も楽しめると思います。
最近制作されている作品について教えてください。
最近制作している作品は、今までの作品とは違って、まず色に白黒が入っていることと、象徴的なものがそのままモチーフとなっています。
今までなら形や色がものすごくデフォルメ化されていたので、どこを見ても何が描かれているのかぱっと見では分からないものが多かったんですが、今回は背景をまず白黒に置き換えていることと、世間一般的に思うその都市のイメージをコラージュして散りばめています。
一つの画面として、よく見たらこれとこれがここにあるのはおかしいと違和感のあるものを置いたり、明らかな外しを入れたりして隣り合うアイコンたちがせめぎ合うように配置しています。
画面の色味やコントラスト、コラージュによって作られた虚構の空間には、人間のミーハーさというか、流されて踊らされていくような皮肉な意味合いも出せたらと思っています。
※作品画像③
今までなら形や色がものすごくデフォルメ化されていたので、どこを見ても何が描かれているのかぱっと見では分からないものが多かったんですが、今回は背景をまず白黒に置き換えていることと、世間一般的に思うその都市のイメージをコラージュして散りばめています。
一つの画面として、よく見たらこれとこれがここにあるのはおかしいと違和感のあるものを置いたり、明らかな外しを入れたりして隣り合うアイコンたちがせめぎ合うように配置しています。
画面の色味やコントラスト、コラージュによって作られた虚構の空間には、人間のミーハーさというか、流されて踊らされていくような皮肉な意味合いも出せたらと思っています。
※作品画像③
自分の優れていると思う点はなんですか?
真面目すぎる所ですかね。笑
これは僕の長所でもあり短所でもあるなって思っています。
大学院の時や今でもかっちりと全部をやろうとする事への意識が強いと言うか、制作に限ってはあれもこれもと画面へ全部詰め込みたくなってしまうんですよね。 過去に教授に何回も言われたフレーズがあって「近藤は牛丼で例えると、トッピングを全部乗せした感じ だよね。」と。 気が付いたら夢中でずっと描いて練って、一つのことをコツコツと積み上げてやっていくことは結構楽しいです。だけど意識的にマイナスの作業をしていかないといけない要素もあるので、そこのバランスをもっと楽に行動できたらなと思ってます。
これは僕の長所でもあり短所でもあるなって思っています。
大学院の時や今でもかっちりと全部をやろうとする事への意識が強いと言うか、制作に限ってはあれもこれもと画面へ全部詰め込みたくなってしまうんですよね。 過去に教授に何回も言われたフレーズがあって「近藤は牛丼で例えると、トッピングを全部乗せした感じ だよね。」と。 気が付いたら夢中でずっと描いて練って、一つのことをコツコツと積み上げてやっていくことは結構楽しいです。だけど意識的にマイナスの作業をしていかないといけない要素もあるので、そこのバランスをもっと楽に行動できたらなと思ってます。
苦手なことはなんですか?
学部も油画出身で、大学院もペインティングをやってきてこれを言うのは変かと思うんですけど、手が汚れるのがすごく嫌なんですよね。苦笑
昔から手が汚れると気分が落ち込むというか、なんだか落ち着かない嫌な気分になってしまって、すぐ洗いに行くか、基本的に制作してるときはビニール手袋をして制作するようになりました。
昔から手が汚れると気分が落ち込むというか、なんだか落ち着かない嫌な気分になってしまって、すぐ洗いに行くか、基本的に制作してるときはビニール手袋をして制作するようになりました。
影響を受けたアーティストは誰ですか?
大学院時代だったら、大学内での影響がものすごく多かったので大庭大介先生の影響は強かったですし、 配色とかだとサラ・モリス、形象化された幾何学的な構成や色彩が散りばめられた様子だとソル・ルウェット、最近だと先ほど言った’虚構’を作り出す上で千葉正也とか、あんまり繋がりないかもしれないけど結構その都度と興味を持ったことへの影響を受けやすいのでころころ変わってます。
どんな子供でしたか?
結構おとなしかったと思います。地元が静岡なので周りの同期はみんなサッカーしてたんですけど、幼稚園の時は僕だけおままごとをしていました。笑
そんなにわちゃわちゃした子供ではなかったです。絵を描くことは小さい頃から好きでしたね。小中高はすべて美術部だったし、休み時間はグラウンドで遊ぶというよりかは、教室で絵を描いたり、友人としゃべってる時間のほうが多かったですね。
そんなにわちゃわちゃした子供ではなかったです。絵を描くことは小さい頃から好きでしたね。小中高はすべて美術部だったし、休み時間はグラウンドで遊ぶというよりかは、教室で絵を描いたり、友人としゃべってる時間のほうが多かったですね。
アート以外で好きなことは何ですか?
サッカー観戦ですね。サッカーの街出身でこれ言うのも何なんですけど、高校までは全然サッカーが好きではなかったんですけど、2010年南アフリカ大会のデンマーク戦の本田圭佑のFKが当時の僕の中で衝撃すぎてそこから急に超ハマりましたね。今は京都へ住居を移しましたが、地元の清水エスパルスの試合があるときは何回か観戦しに帰省してスタジアム行ったりするくらい好きになりました。
他にもゲームをしたり音楽を聴いたり、アイドルを応援したりと多趣味ですね。
他にもゲームをしたり音楽を聴いたり、アイドルを応援したりと多趣味ですね。
1 番思い出に残っているプロジェクトや作品はなんですか?
大学院の修了制作展で発表した大作です。
この作品は、自分の今の原点でもあって、自分を変えるきっかけとなった大きな起点とも言える印象が深い作品です。
この作品を完成するまでの道のりは決して簡単なものではなかったです。 何回か心折れることもあり、一度は院を辞めようとした事もありました。
今まで積み上げてきた制作からガラッと意識を変えたのが修了する前の年の8 月頃で、そこから怒涛の毎日でした。考えるより手を動かす日々でしたね。
試作品を色々と練り直し、この作品を作り出したのは10月頃から。締切りまでは 2ヶ月あるかないかだったので毎日缶詰になって制作しました。 とてもハードな日程でしたが制作していて楽しい、充実感があると思える時間でした。 出せる力をフルに注いだこの作品は、とてもありがたいことに「優秀賞」を頂きました。授賞式の際に爆泣きした事は今でも覚えています。笑※作品画像①
この作品は、自分の今の原点でもあって、自分を変えるきっかけとなった大きな起点とも言える印象が深い作品です。
この作品を完成するまでの道のりは決して簡単なものではなかったです。 何回か心折れることもあり、一度は院を辞めようとした事もありました。
今まで積み上げてきた制作からガラッと意識を変えたのが修了する前の年の8 月頃で、そこから怒涛の毎日でした。考えるより手を動かす日々でしたね。
試作品を色々と練り直し、この作品を作り出したのは10月頃から。締切りまでは 2ヶ月あるかないかだったので毎日缶詰になって制作しました。 とてもハードな日程でしたが制作していて楽しい、充実感があると思える時間でした。 出せる力をフルに注いだこの作品は、とてもありがたいことに「優秀賞」を頂きました。授賞式の際に爆泣きした事は今でも覚えています。笑※作品画像①
夢を教えて下さい。
夢というか目標になってしますかもしれないんですけど、去年初めて海外で展示させていただいて(シドニ ー)、言語の通じないところで展示をするっていうのも初めてだったので、未開の地である日本国内以外での評価っていうのが今はどれ位なのかなと気になっていました。実際行ってみて新鮮な気持ちにもなりましたし、海外の方との作品を交えてのコミュニケーションも楽しかったので、今後は海外で展示する機会をもっと増やしていきたいなと思います。あと、今応援してくださっている方々にももっと作品からパワーを届けられたらいいなと思っています。