【作家紹介】2020年注目のアーティスト②「森井 沙季」
2020年の活躍が楽しみな作家さんを紹介するこの企画、
前回の増田将大さんに続き、今回は京都造形芸術大学の大学院生である「森井沙季」さんを紹介します。
森井 沙季
- 1996年 兵庫県生まれ
- 2019年 京都造形芸術大学油画コース 卒業
- 2019年 京都造形芸術大学大学院彫刻・立体造形領域 入学
今回紹介するのは現役の大学院生です。
この企画を考えた時に、まず第一に紹介したいと思った作家さんです。
京都造形芸術大学といえば、椿昇・名和晃平・ヤノベケンジ・鬼頭健吾・大庭大介など、日本を代表するアーティストが講師を務める、アーティストを目指す学生にとって非常に恵まれた環境です。
近年、注目の若手アーティストと次々と輩出しており、以前アーティストインタビューで紹介した 小谷くるみさん や 山本捷平さん 新宅加奈子さん も京都造形芸術大学の出身です。
森井さんは、どちらかというと写実的なリアリティーのある表現の作風で、同じ造形大学出身者では、熊谷 亜莉沙さんなどが少し近い表現かなと思います。
森井さんの作品は、景色や人物、物などの対象物をリアルに描いていますが、リアルに描写するだけでは無く、怪しい色合いで、モチーフがズレたように表現されています。残像のようにも蜃気楼のようにも見えます。
モチーフも独特で、モチーフのチョイスにも作家のセンスを非常に感じます。
以下が、森井さんのステートメントです。
『人が何かを願った時に抱く期待に包まれた煌びやかな「理想」と、その実現が脅かされた時に抱く不安を帯びた仄暗い「虚構」。他者に愛を求めて得られる「安堵」と、他者が自分の中に侵入するのではないかという「恐怖」。
我々の脳内では、常にこのような相反する要素が共存し、互いを飲み込み合いブラッシュアップする作業を繰り返す。私が想像するその光景は、流動的で動画のようでもあるが、その動きは鈍く、可変性を持ちながらも感情の重みが足枷となり、じりじりと磁気を発する静止画のようでもある。
私にとって絵の具を重ねる行為は複雑に積み重なる質量を持った感情のレイヤーをかける事である。絵画という限られた空間の中で、我々の精神に持つ二律背反の光景を表現している。』
怖いものや不快なものを描いているわけでも無いのにも関わらず、観ていると何故か不安な気持ちになります。
あまり感じたことの無い不思議な感覚です。
まだまだ露出の少ない作家さんですが、様々な注目の若手アーティストが出展され、非常に注目されているアートフェアである「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2020」に選ばれ、公式HPのメインビジュアルにも選ばれています。
今後、アートコレクターや関係者にどのように評価されるか非常に楽しみです。