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【アーティストインタビュー】#012 山本直樹

【アーティストインタビュー】 山本直樹

  • 1963年新潟県生まれ。
  • 1991年 東京造形大学造形学部美術学科1類(絵画)卒業


「感覚、社会、記憶」をテーマに、身の回りのできごとや社会状況を、砂糖や飴などの甘い食材や匂いのある素材を使い空間に表現する作風で知られる。2017年に開催された第20回岡本太郎現代芸術賞展で最高賞の岡本太郎賞を受賞するなど、実力派の作家。

 

 
運営者 播磨
オープンスタジオで偶然作品を拝見しました。作品のインパクトも凄く、お話を聞いていると、制作方法やコンセプトが非常に面白い作家さんであると感じたためインタビューをお願いしました。加藤智大さんに続き、偶然話しかけた作家さんが岡本太郎賞受賞作家という奇跡。とても面白いお話を聞くことが出来ました。

 

 
自己紹介をお願いします。
山本直樹といいます。1963年、新潟県生まれです。
 
作風やコンセプトを教えて下さい。
作風ですけれどもインスタレーションというジャンルで空間に作品を展開していく作品です。

特徴としては絵具や石や木材のような従来の画材ではなく、甘いもの砂糖や飴ですとかチョコレート、たまに辛いものを使いますけど、そういった食材を使って作品を作っています。
 
角砂糖を使った作品について教えて下さい。
2017年に岡本太郎現代芸術賞で岡本太郎賞を頂いた時は、角砂糖を3万個使って東京の街並みを作り、2018年の大阪の+1 art では同じく角砂糖を4万個使って大阪の街並みを作りました。

これは、私だけではなく観客の方も一緒に作っていく作品で中々それが面白かったです。というのは私が基本形のビルとかを作っても、観客の方がそのビルを壊して自分の新しい夢のビルを作っていく、いわば「地上げ」のように周辺のビルをスクラップアンドビルドして作っていくみたいな感じで、都市の縮小版がそこに展開されていきました。

太郎賞の時は真ん中に角砂糖の街並みがあり、周りがガラスで覆われた空間なんですけど、そのガラスにグラニュー糖で社会情勢の新聞のベタ記事を砂糖で描いていきました。

+1 artでは、長いオブラートを短冊状にして、そこに砂糖で新聞ベタ記事の文字を描きました。会期中はパフォーマンスで、その文字を私が食べたり、観客の方にも味わってもらうことで日々形が変わっていく、「いま」というところを切り取って観客の方と共有するような作品でした。
 
自分の優れているところを教えてください。
優れているところとは違うかもしれないんですけど、「イタコ」のような感覚で普段作品を制作しています。私は自分の自我を出してしまうと泥沼にはまっちゃうんですけど、自分というところを無くして、イタコのような気持ちで周りの気持ちを取り入れていくことでスッと作品が出来上がるところですかね。優れているというよりは特徴ですね。
 
苦手なことはなんですか?
掃除ですね。収集するのが大好きなので、日々の情報とか状況を吸収するのが精一杯で身の回りのことが中々整理できないことですね。本当は綺麗好きですよ。笑
 
影響を受けたアーティストを教えてください。
予備校講習会時の先生が、川俣正さんでした。歴代のそれぞれのいい作家さんたちからは色んな影響を受けていますね。かつてはジェームズ・タレルさんにともお話しさせて頂きました。
 
子供の頃どういう子供でしたか?
一つのことに夢中になるたちでして、例えば虫、魚、鳥、獣、電車、スーパーカー とかに夢中になりました。それが今は美術になりますね。美術は未だ飽きていません。子供のような感覚でやっています。
 
アート以外で好きなことは何ですか?
刻々と変化していく社会・政治・経済、科学など色んな話しを見聞きするのが好きです。

あと、散歩。そこらじゅう歩き回るのが好きです。それが作品に繋がってきています。
 
思い出に残っている作品やプロジェクトを教えてください。
最初に行った角砂糖の作品を思い付いた時に、町中のスーパーとか小売店から角砂糖が無くなりました。銀座で個展をやった時も、途中で角砂糖が欲しくなって、銀座中のデパートから角砂糖が無くなりました。

その作品は、幅4mくらい、高さを私の身長の1.7mくらいを目標に、他のスタッフ3人で1日14時間、4日間かけて作りました。途中に2回崩れまして、2回目の時、ガタイのいいお客さんがドシドシと歩いてきたら、ガーッと崩れてぎゃーって叫んで言って逃げて行きました。笑

 逃げる事は無かったんですけどね 笑

大変でしたけど、最後のワンピースを乗せた時、収まって奇跡的に一列に立ち上がった時の美しさは今でも脳裏に焼き付いています。
 
夢を教えてください。
夢は色々ありますけどね。今は国内ですとかアジアというところをメインに制作していますけど、今後は他の色々な問題を抱えた紛争地域に行って、その状況の問題を捉えながら、砂糖やその地方のお菓子を使って作品を作って、現地の人と作品と「いま」を味わっていきたいです。
 
 「FLESH!」 Courtesy of Naoki Yamamoto
ギャラリーの四方壁面を段ボール板で覆い、割った板飴を観客に舐めてもらいながら、怒りを感じている観客には壁面に飴を刺してもらい、癒したい観客には飴を抜いてもらう参加型作品。
 
「Fra_」 Courtesy of Naoki Yamamoto
ギャラリー床一面にガラス板を7cm浮かせて敷き詰め、英字新聞のある1日の一面を砂糖で拡大した作品。
 
「Sugar Wall」 Courtesy of Naoki Yamamoto
角砂糖約15,000個を積み上げた作品
 
「Miss lleのみた風景」 撮影:末正 真礼生
美術館のガラス展示空間内で、ガラス面には会期中に行った社会状況を砂糖で描画、床面には観客と山本が角砂糖で東京の街並みを作る作品。また、観客が美術館に入場すると、センサーが働き、展示空間全体に戦闘機の爆音が鳴り響いて、ガラス内に眩い閃光が一瞬光る。
 
「Miss lleのみた風景」 撮影:末正 真礼生
 

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