新宅加奈子個展「indication」
2019年9月17日(火)~29日(日)京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク、10月3日(木)〜12日(土)東京のKiyoyuki Kuwabara AGで開催されている、新宅加奈子写真展「indication」を京都で拝見してきました。
新宅加奈子さんは、京都造形大学を卒業し京都を拠点に活躍されている作家さんで、2019年に開催された「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2019」では、名和晃平の推薦により出展され、雑誌Penの2019 No.468号で紹介されるなど話題となりました。
自らの身体をキャンバスにして絵の具を纏っていくという唯一無二の作風で、近年コレクターの間でも話題の作家です。
写真作品が中心の作家さんですが、今回は半立体の新作やパフォーマンスがあるとのことで楽しみにしていました。
会場は、平安神宮近くにある「京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク」です。
初めて来たギャラリーですが、2階建てで同時に3つの個展が開催されていました(貸しギャラリーのような感じでしょうか?)
新宅さんの個展は1階です。当日はパフォーマンスを行う日程のためか暖房がついていたため少し暑かったです。
会場は、写真・映像・アクリルの半立体作品で構成されています。
壁に写真作品、奥にモニターで映像作品が流れており、テーブルに新作の半立体作品が並んでいました。
右手には小さな部屋のような空間があり、こちらに背を向ける形でカラフルな椅子が置かれていました。恐らくパフォーマンスで使われる(使われている)ものだと思います。
入り口近くにアーティストステートメントが記入されています。
【ステートメント】
全身に絵の具を纏い、そのパフォーマンスをセルフポートレートで撮影している。3 原色+白の塗料の中に片栗粉を入れ、それが身体の上で混ざり合い、自身の体温によって徐々に硬化し、4~8 時間を掛け新たな皮膚を形成する。私にとって身体はキャンバスであり、塗料はメディアだ。身体が私と0 距離で絵画となる。生きている事を確認する行為として9 年前からパフォーマンスを行い始めた。この作品を通し、身体と感覚を拡張し、自己からの脱却を図り、個が無くなることの自由さを伝えたい。この行為は正に超身体化/脱身体化/合身体化である。
新宅 加奈子
「ARTISTS’ FAIR KYOTO」や「Starbucks 京都BAL店」でも展示されていた代表的なシリーズ「I’m still alive」です。カッコいいですね。
強烈な色味に目を奪われて、一瞬、実体が何なのかと混乱を起こしますが、よく見ると片栗粉の影響か皮膚の部分がウロコのような質感になっており、生命を持った生物や人であるということを再認識させてくれます。
今までは、身体の一部分にスポットを当てている作品が多かったですが、今回はパフォーマンスで使用する椅子に座った状態の作品が展示されていました。
余白が多くて色が映えます。椅子だけの作品もありました。このシリーズはよく売れていました。
映像作品は、動きが加わることで、より生物感を感じることができます。
新作のボディスキャンしたデータをアクリルにマウントした作品です。
今回は小さな作品でしたが、サイズを大きくしたり、データを重ねたり、様々な展開が出来そうな面白いシリーズだと感じました。新しいことに次々挑戦されていることに好感が持てます。
毎日ではありませんが、観客の前で、実際に絵の具を被るパーフォーマンスを行う日があります(詳しくは公式HP要確認)。
残念ながら今回は時間の関係上、見ることができませんでしたが、とても良いパフォーマンスのようなので次回はぜひ鑑賞したいと思います。
まだまだ若く、表現方法の独創性を持ち、クオリティの高い作品を作られるので、今後は様々な手法や手段で表現の幅を広げていかれると思います。
次代のスター候補、観ておいて損はないと思います。