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【アーティストインタビュー】♯003 キム・ドゥハ

【アーティストインタビュー】キム・ドゥハ

韓国生まれ。結婚を機に日本へ拠点を移され、日本で精力的に活動されています。2014年にソウルで発表した「ポトンソニョ=普通少女」は、口コミから広まり、韓国で流行語になるなど韓国でも非常に人気が高く、著名な写真家の一人です。

 
 
運営者 播磨
初めて写真作品を見たとき、写真から醸し出される柔らかい雰囲気にとても驚きました。不思議なベールに包まれたような、毛布のようなふわふわした質感は独特で、非常に魅力的だったのでインタビューをお願いしました。

 

 
自己紹介をお願いします。
わたしはキム・ドゥハです。韓国から来ました。写真家です。
 
作風や作品のコンセプトは?
私の作品は「役割」をテーマにしたものが多いです。韓国では物心ついた頃から「役割」というものを意識しながら生活しています。

日本もそうだと思いますが、例えば家庭では長男や末っ子、父親といった役割があり、学校では班長や先輩・後輩、社会に出ると社長や従業員、みんなそれぞれ役割がありますよね。韓国ではそういった役割が社会のイメージによって作られているので、固定概念に縛られたり役割を演じようと自分らしさを見失ったりする事が少なからずあります。

社会や周りのイメージに縛られた「役割ごっこ」ではなく、自分がなりたい自分、自分らしい自分って何だろう。それをわかりやすく平凡な形でみなさんと共有したい、という想いが作品に込められています。
 
代表的なシリーズの「ポトンソニョ」について教えてください。
今回アートフェアで出展させてもらった「ポトンソニョ」は韓国語で「ポトン」が日本語でいう「普通」、「ソニョ」が「少女」という意味です。

数多くある役割のうち、少女という役割は特に社会や家庭内での教育によってイメージが作られていて、少女というとおとなしく、清楚なイメージがあるんです。

韓国では少女の時期にあまり肌を見せず露出を避けるよう社会や家庭から教育されるため、自分の肌を隠そうとする人が多い傾向があります。でも実際は一生の中でも特に多感な時期ですし、好きな服を着たり、自分をアピールしたり、自由に楽しみたい頃だと思うんです。現に校則に違反してスカートを短くしたり、こっそりオシャレしたり、皆そのような欲望はありますよね。

「ポトンソニョ」は社会や周囲から決められた少女というイメージにとらわれない、本来の自分らしい少女とは何かということを問いかけるために作った作品です。作品のモデルはプロのモデルではなく、皆一般の成人女性です。20代後半~30代後半の方が多いのですが、少女の頃に抱いていた自分らしい普通の少女を表現してみませんか?と問いかけている作品なんです。
 
自分の優れている点は?
私の写真は強くないです。

(妻→強くないところが作風といいますか、皆さんからよく言われるのは何故そんな優しく温かい写真が撮れるの?と。私も聞いてみると「撮ったらそうなった」と笑顔で答えていました。写真を撮る時の視線が優しい、柔らかくあたたかい目線で世界を見ているのではないかと私は思います。)
 
自分の苦手なことは?
多くの作家は一つの素材を10年、20年と撮り続けますが、私は何年も同じものを撮り続けるのが苦手な方かも知れません。写真を撮るということは、自分の中の思想、思考を写すことでもあります。私は自分の考えも日々変化がありますし、被写体も変わるので、ずっと同じものを撮り続けるということが少し苦手です。
 
影響を受けたアーティストは?
ロバート・メイプルソープ、チェ・ミンシク先生、ク・ボンチャン先生です。
 
どんな子供でしたか?
すごく大人しい子供でした。一日中喋らない日もありました。テレビやラジオなど、家中の電化製品を分解しては作り直す事が大好きで、家族からは変わった子だと言われていました。
 
写真以外で好きなことは何ですか?
映画鑑賞、旅行
 
自分の中で一番思い出に残っている作品、プロジェクトは何ですか?
一番最初に発表した作品で、「毛糸」という作品です。その写真を作成している時が人生の中でも一番精神的に辛かった時期で、本当の自分を探すために毛糸を撮り続けていました。
 
夢は何ですか?
幸せに生きること。みんなが幸せに暮らすことです。
 
Kimdooha, Botton Sonyeo, 2019. Archval_Pigment_Print.
 

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