「HANKYU ART FAIR 2024」
大阪の阪急うめだ本店で開催された、「HANKYU ART FAIR 2024」について紹介します。
すでに会期は終わってしまいましたが、会期中、何度も足を運んで感じた感想を語りたいと思います。
「HANKYU ART FAIR 2024」について
まず、今回開催された「HANKYU ART FAIR 2024」の概要について紹介します。
◎5月29日(水)~6月10日(月)
◎9階 阪急うめだギャラリー
9階 アートステージ
9階 阪急うめだホール ※催し最終日は午後5時終了
〈展示販売・入場無料〉
以下、公式HPの紹介テキストです。
“アートと暮らすことが、当たり前”になり、
現代アートの魅力を存分にお楽しみいただけるように。
そんな願いを込めて、今回の展示を開催。
名和晃平、大庭大介、品川美香を始め、総勢約70名のアーティストが登場します。
多彩なクリエーティブのほか、注目アーティストによる貴重なイベントもお楽しみください。”
阪急うめだ本店のイベントといえば、9階の「アートステージ」や「阪急うめだギャラリー」が使用されることが多いですが、今回は9階の「阪急うめだホール」という普段あまり使われない空間が使用されています。
「阪急うめだホール」は、天井高の高い、例えると小さな体育館のような空間です。
その空間に、本展のディレクターである椿昇さんの得意な金網が組まれて、さながら「ARTISTS’ FAIR KYOTO」のような展示方法です。
高い天井高のお陰で、百貨店では通常展示できないような大作も多数出展されていることと、9階だけではなく、コンコースウィンドー(これは次回解説いたします)の展示や、各階でアート関連の展示が同時開催されており、百貨店全体がイベント会場のようになっているため非常に見応えがありました。
「阪急うめだホール」だけでなく、「阪急うめだギャラリー」の展示も、照明や展示の方法も工夫されており(穴を開けられないので一部ワイヤーフック固定となっていたことは致し方ないと思います)、百貨店のよくあるグループ展とは差別化しようという意図が感じられました。
今回のアートフェアで感じた改善してほしい点
概ね素晴らしい企画でしたが、個人的にこの部分がより解消されればよかったなと思う点をいくつか挙げてみます。
①案内の不十分さ
会場の案内が少なく、ふらっと立ち寄ったお客さんが見逃している展示も多いように感じました。
特にメインとも言える「阪急うめだホール」の展示は、同じ9階の「アートステージ」や「阪急うめだギャラリー」の奥に存在する場所ですが、入り口が見えにくく、普段オープンしていない空間であることもあり、お客さんが気づいていないように感じました。
今回のアートフェアがライト層向けの企画でもあることを考えると、少しもったいなかったかなと思います。
また、各階にあるアート企画も何が何処で開催されているのかがわかりにくく、私もいくつか見逃してしまっていました。
簡単なものでもいいので、阪急内で開催されているアート関連企画のわかりやすいマップ的なものがあれば、より皆さんに楽しんでもらえたのかなと思います。
②見逃しがちな作品があったこと
会場内はぐるぐる巡れるように、うまく壁を仮設して空間を作っていたように思いますが、竹内義博さんの作品が少しわかりにいく場所で見逃している方が多そうだなと思いました。
細かい話ですが、松岡柚歩さんの作品の壁の裏に竹内さんの作品が展示され、その向かいの壁に作家のポートフォリオが置いてありましたが、その空間に気づいている方も、ポートフォリオが置いてあるのが見えて、作品が無いと勘違いして見に行かなかった方も多かったかと思います。ポートフォリオの場所と竹内さんの作品の場所を入れ替えれば、より作品が目に入りやすかったのかなと思います。
③キャプションについて
会場内の各作品にタイトル・作家名・価格・サイズは記載されていましたが、コレクター目線で言うと、画材・技法の表記はあった方がよかったのかなと思います。特に作品数が膨大で、かなり大変かと思いますので、立体作品だけでも表記があるとよかったのかなと思います。
コレクターとしては、コレクションを検討するにあたり、作品の耐久性や保管の扱いについてはしっかりと見ていかないといけない部分ですので、表記があるとコレクターとしても検討しやすかったのかなと思います。
以上、改善すればより良いなと思う点を挙げましたが、
阪急うめだ駅やJR大阪駅から徒歩5分圏内にある場所で、82名もの大御所から若手作家のクオリティーの高い作家の作品を無料で鑑賞し、購入できる企画というだけで、最高の企画と言えるでしょう。商業施設での展示として、非常に満足度の高いアートフェアでした。
来年以降も同規模で開催されることを期待しています。