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【アートレビュー】中原正夫 「Remember Landscape」

中原正夫 個展「Remember Landscape」

BEAK 585 GALLERY で開催されている、中原正夫さんの個展「Remember Landscape」について紹介します。

中原正夫

埼玉県生まれで、現在はドイツのデュッセルドルフに在住している作家さんです。
日本美術学校油絵科→ドイツ ブラウンシュヴァイク美術大学→ドイツ デュッセルドルフ美術大学と美術教育を受けた後、作家活動を約20年間一時休止していましたが、私的な思い出をテーマにした作品「ゆなの絵日記」の制作がきっかけとなり創作への意欲を取り戻し、現在はインスタグラムをで作品を公開されています。

作家活動再開後は、ドイツ デュッセルドルフ美術大学で学んでいた際に交流のあった奈良美智さんに誘われて、東京のYKGギャラリーでのグループ展「Youth」や ドイツ・デュッセルドルフでのグループ展「tomodachito – Mit Freund*innen」に、奈良美智と共に展示するなど、ブランクを経て、活躍の場を広げている注目のアーティストです。

「Remember Landscape」

本展は、人物画・風景画・石膏による立体作品で構成されています。

肖像画のような作品は、女性のようなモチーフが描かれた小さな作品です。新聞紙や布など様々な支持体に描かれています。

「蝉の木の前で」 800 × 600 mm oil on canvas

メインビジュアルとなっている作品です。画像越しでは少し悲しい印象を受けますが、直接観ると暗めの背景に女性が輝いて浮かび上がってくるようで、優しく包み込むようなエネルギーに満ち溢れた作品でした。素晴らしい作品です。

 

「白い橋(ポルトガルのサント・アントニオ)」 295 × 420 mm oil on board
右)「桜の木の住人たち」 480 × 635 mm oil on canvas

風景画はとても独特な描き方です。個展タイトルにもあるように記憶にある風景を描いているためなのか、とても曖昧な独特の世界観です。曖昧な雰囲気が、様々なシーンを連想させ、見かたによっては、とても悲しいシーンにも見えますし、日常のなんでもないシーンにも見えます。不思議な作品です。

立体作品も可愛らしく、なんとも言えない表情です。私は初声をあげた乳児や胎内にいる赤ちゃんのように見えました。この作品も鑑賞者によって見え方が大きく異なってくるかと思います。


初めて生で拝見しましたが、とても素晴らしい展示でした。

心にじわっと染み込んでくるような心地よい作品ばかりで、美術の純粋な素晴らしさをこちらにしっかり伝えてくれます。
(この感覚、奈良美智さんの個展を見たときにも感じましたので、やはり通ずるものがあるのでしょうね)

中原正夫さんの作品を日本で見れるのは貴重な機会かと思いますので、ぜひ生で鑑賞してみてください。

中原正夫 「Remember Landscape」

2022年9月3日ー9月27日
12:00 – 19:00
水・木 休み

BEAK 585 GALLERY
大阪市北区西天満4-5-25 北老松ビル2階

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