【コレクション紹介】飯田美穂「Hortense 2019 ,Deras」
今回は、飯田美穂さんの「Hortense 2019 ,Deras」について紹介します。
【コレクション作品情報】
作品名:Hortense 2019 ,Deras
作家名:飯田美穂 Miho Iida
制作年:2019
技法:Oil on canvas
サイズ:530 × 455 mm
飯田美穂
1991年愛知県生まれ。
2018年京都造形芸術大学大学院芸術専攻芸術研究科ペインティング領域油画コース修了。
愛知県在住。絵画への愛とオールド・マスターたちへのリスペクトを込めて多様な名画を引用し、抽象化されたイメージを描く。
近年の個展に 「I66I」(YEBISU ART LABO GALLERY、愛知、2021)、 「□(1×1/2×2), they-1」(FINCH ARTS、京都、2020)、「目の絵 I menuet」(FINCH ARTS、京都、2019) 、「トーキョーワンダーウォール都庁2014 —飯田美穂ー」(東京都庁、2015) 。展覧会に、「DELTA Experiment」(TEZUKAYAMA GALLERY、⼤阪、2020)、「ファン・デ・ナゴヤ美術展2020 『ここに在るということ』」(名古屋市民ギャラリー矢田、2020) 、「ARTISTS’FAIR KYOTO 2019」(京都文化博物館別館)、「ART in PARK HOTEL TOKYO 2019」(パークホテル東京)などがある。
飯田美穂さんは2016年に発売された「美術手帖12月号特集 あなたの知らないニューカマー・アーティスト100」で紹介されているのを見て知った作家さんです。
今年のコレコレ展にも私の推薦で出店してくださりました。
飯田さんの作品は、オールドマスターの名画をモチーフに、人物画の象徴とも言える顔を「∵」などの記号に置き換え、豊かな色彩や自由な筆跡で描く作風が特徴ですが、「Hortense 2019, Degas」は、エドガー・ドガの「Portrait of Mlle. Hortense Valpinçon」がモチーフの作品です。
エドガー・ドガの「Portrait of Mlle. Hortense Valpinçon」とは?
「Portrait of Mlle. Hortense Valpinçon」は、エドガー・ドガが1871年に描いた作品です。
ドガは、幼なじみのポール・ヴァルピンソンの邸宅であるメニル・ユベールという場所に頻繁に訪れていました。ノルマンディーにあるメニル・ユベールは、ドガにとって絵を描くのに適したとても心地よい環境で、何度もポールの家族をモデルに絵を描いていたようです。
その中でも、この「Portrait of Mlle. Hortense Valpinçon」はポールの娘であるホルテンスがモチーフの肖像画で、傑作の一つと言われています。
後のホルテンスの証言で、この作品が、当時キャンバスがなかったためマットレスの切れ端に描かれた作品だと言われていたのですが、幼き頃の記憶であり、信憑性にも欠けるため、美術研究家からも否定されていました。
しかし、1996年にテープで止められたキャンバスの端に、青と白の縞模様のパターンがあることが発見され、ホルテンスの証言が正しかったことが証明されたというエピソードのある作品です。
飯田さんはビンテージガラスや麻布など様々な支持体に描くことも特徴ですが、この作品のモチーフがマットレスの切れ端に描かれたという点で、飯田さんとの繋がりを感じさせる面白さがあったため、コレクションした作品です。
やさしい色合いや、「∵」の表情などが飯田さんらしさを感じさせる点もとても気に入っています。
関西や名古屋を拠点に活動されていましたが、関東での展示機会も増えてきており、コレクターから非常に注目されています。
これからもどのようなオールドマスターの名画を飯田さんの世界観で表現してくれるのかとても楽しみです。