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【コレクション紹介】西村有未「雪娘シーズン2第2話(『ロシアの昔話≪愛蔵版≫』、内田莉莎子訳、福音館書店、1989年、P.132-133)」

【コレクションレビュー】西村有未「雪娘シーズン2第2話(『ロシアの昔話≪愛蔵版≫』、内田莉莎子訳、福音館書店、1989年、P.132-133)」

今回は私がコレクションしている西村有未さんの作品について紹介いたします。

西村有未さんについては、アンテルーム京都での作品展示や、『美術手帖』2020年12月号「絵画の見かた」特集では、会田誠さん、梅津庸一さん、海老澤功さんとの座談会記事で知っており、気になっていた作家さんでした。

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西村有未
1989年 東京都に生まれる

[EDUCATION]

  • 2019  京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程美術専攻研究領域(油画) 修了
  • 2016  京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画) 修了
  • 2014  東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻 卒業

[Solo Exhibition]

  • 2020   図形的登場人物(雪娘)と望春の花/FINCH ARTS, 京都
  • 2018   描き続け 為に(物語から絵肌へ、絵肌から物語へ。その繰り返し)/神奈川県立相模湖交流センター,神奈川
  • 2016 From light houses vol.1 yumi nishimura/MOONDUST, 東京
  • 2015    場面集と地面色の人/東京造形大学(CS-lab ,mime), 東京
  • 2013 TWS-Emerging2013:例えば祖父まで、もしくは私まで。こんもり出現/TWS本郷, 東京
  • 2012 毛わらと油/美術出版社ビューイングスペース, 東京
          

[Group Exhibition]

  • 2021   絵画の見かた reprise/√K Contemporary,東京
  • 2019   PIE314 FOR MAKE WORKS /ON MAY FOURTH,東京
  • 2016   第3回CAF賞入選作品展/3331 Arts Chiyoda, 東京
  • 2016 CAF ART AWARD Selected Group Exhibition/HOTEL ANTEROOM KYOTO | GALLERY9.5, 京都
  • 2014   三菱商事アート・ゲート・プログラム2013年度奨学生作品展/EYE OF GYRE ,東京
  • 2012   トーキョーワンダーウォール2012 /東京都現代美術館, 東京
  • 2010   現役美大生の現代美術展 -Produced by X氏 /Kaikai Kiki gallery, Hidari Zingaro, 東京

 

[Public Collection]

  • 山梨学院大学
     

[Grands & Awards]

  • 第3回CAF賞保坂健二朗賞
  • 2013年度三菱商事アート・ゲート・プログラム2013年度奨学生

[Workshop]

  • 2019    練馬区立美術館

<作家HPより引用 https://www.yuminishimura.com>

 

今回紹介する「雪娘シーズン2第2話(『ロシアの昔話≪愛蔵版≫』、内田莉莎子訳、福音館書店、1989年、P.132-133)」は、Art fair Tokyo 2021 のFINCH ARTSのブースに出展された作品です。

 

コロナ禍で東京に行くことができなかったため、FINCH ARTSに出展作品リストを送って頂いたのですが、正直に言うと、西村さんの作品を狙っていたというわけではなく、FINCH ARTS 所属の飯田美穂さんと黒宮菜菜さんの作品が目当てでした。

しかし、送っていただいたリストに目を通した時、西村さんの作品に目を奪われました。まさに衝撃でした。

 

 

タイトルにも含まれているように、この作品はロシアの昔話である「雪娘」という物語が題材です。

私自身のコレクションの方針として、家に飾るものなのでネガティブな要素を感じたり、家族が不快に思う表現の作品はコレクションしないようにしているのですが、この物語、お読みいただくとわかるかと思うのですが、少し悲しく切ないお話なんです。

 

雪娘 ロシアの昔話 <福娘童話集 きょうの世界昔話>

 

しかも描かれているシーンはラストの焚火を飛び越えようとして湯気となる描写の部分です。

 

 

西村さんにお話を聞くと、西村さん自身もこの物語から突発的な不条理や理不尽さを感じており、最初はそこから想像される感情を手掛かりに作品を描いていたようです。

しかし、ある日、この物語を知るある女性から「雪娘は焚き火を越える瞬間を味わえて嬉しかったのではないかと感じた。現実的には、消えてしまうことは悲しいことばかりだと考えられやすいが、消えることの全てが、悲しい出来事とは限らないのではないだろうか?」と言われたようです。

当時は、そうした視点に戸惑いや危うさを感じていたようですが、コロナのパンデミックや自身の環境変化などを通じて、徐々にそのような捉え方も一つとして受け入れ、想像することができるようになってきて、少しずつ絵が変化していったようです。

 

 

この作品は従来の西村さんの作品と比べてもより抽象度が高い作品で、そのような西村さんの考え方や表現の変化を強く感じられる作品ですし、視野が狭くなってしまっている私自身に、多様な考え方があることを教えてくれ、新たな視点を与えてくれる作品であると感じました。

西村有未さんはコレクターからの評価も高く、今後注目すべきアーティストだと思いますし、西村さんの代表作ともいえる作品をコレクションできたことは誇りに思います。

 

今週末に開催されるアート大阪でも出展(FINCH ARTS)されるようなので、行かれる方は是非西村さんの作品を生で見て鑑賞して観てください。

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