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【アートレビュー】石原梓 個展「杭を打つ」

石原梓 個展「杭を打つ」

会期は終了してしまいましたが、MEDIA SHOP l gallery2 で開催されていた石原梓さんの個展に行ってきました。

 

石原梓さんは、2012年に京都精華大学を卒業し、2016年にシェル美術賞入選、2019年・2020年のARTISTS’ FAIR KYOTOでは、塩田千春に推薦されるなど、関西を中心に活躍している作家です。

 

今回の個展は、京都の中心部にある MEDIA SHOP l gallery2 での展示で、店内の螺旋階段を上がった先にギャラリー空間がありました。

 

まず目に入るのが、1940×1940 mmの巨大なボーダーの作品です。

近くで見ると、微妙な色合いが細かく重ねられています。遠くから見るとフラットな印象ですが、何層にも重ねることによる盛り上がりを感じることができます。石原さんの作品では夕日のようなオレンジ系の色味が使われることが多いですが、こちらの作品は人の肌のような柔らかな色味です。

 

グラデーションの小作品(220×273mm)を壁一面に並べています。これだけ並べると非常に迫力があります。

どれも白系から夕日のようなオレンジのグラデーションの作品なのですが、色の割合や色の濃さが一つ一つ異なるため、観る角度や注目するエリアにより色味の見え方が変わってきます。

 

今回の個展で個人的に一番いいなと思ったのが、1167×727 mmの横長のストライプの作品です。

深みのある青と、鮮やかな青、夕日のようなオレンジの配色が、海岸から眺める夕景のように感じます。冷たさと暖かさが混じり合い、とても柔らかな印象の作品です。本当に美しい作品でした。

 

石原さんには珍しくドローイングの作品も展示されていました。写真作品のようにも見てたのですが、木炭と銀箔を用いた作品のようです。新たな挑戦を感じます。

 

会期終了後であったため貸し切り状態でしたが、静かな空間と優しいスポットライトが、石原さんの柔らかく落ち着いた絵画の世界観をうまく引き出しているように感じました。

今後は、どのような空間を作り出してくれるのか、次回の展示がとても楽しみです。

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