大成 哲 個展「勿体 – buttai – 」
TEZUKAYAMA GALLERYで開催中の大成哲さんの個展を紹介いたします。
大成哲
1980年東京生まれ。2004年、日本大学芸術学部美術学科彫刻コースを卒業。同年、東京藝術大学大学院に入学。2005年、チェコ政府奨学金を取得しチェコ共和国、プラハへ留学。プラハ美術アカデミーとプラハ工芸美術大学に各1年ずつ在籍。2008年、東京藝術大学大学院修士課程を修了。その後 、再びチェコへと渡り、現在もプラハを拠点に活動。
[アーティスト・ステートメント]
私は人と自然環境の関係を、彫刻家と彫られる物体の関係と見立てています。その中で、もののあるべき様が人によって変えられていく姿や、その行為 から出来る副産物に視点を向けています。 物質、非物質であれ、人間に変化 “させられる” のであれば、輪廻的理論は理想であり、自然が持つエネルギーや生命は徐々に潰れていきます。私たち は創ることに我や欲が剥き出しの状態で、亡くなっていく勿体を弔う気持ちはどこへいったのでしょうか。 究極の理想は、この地球から人間、もちろん彫刻家も彫刻も無くなることだと思います。ですが、そのような極端な選択ではなく、なんとか私たちが今足り るものに有難身を持ち、全く取りこぼし残さず享受し、少しでも永く良い営みができることだと思っています。
大成 哲
TEZUKAYAMA GALLERY 公式HPより引用
大成さんは、ガラス、石、木などの素材を用いた彫刻作品、インスタレーション作品を中心に発表されていますが、今回のメイン作品は名刺を使用した作品で、なんと世界各国のギャラリスト、キュレーター、アーティストの本物の名刺を使用した驚きの作品です。
名刺をスグラフィットと呼ばるれるルネッサンス時代に編み出されたグラフィックの技法で幾何学模様にカットすることにより、作為的に彫られた部分とその行為によって無作為に生じた非対象物の2つに切り分けられます。切り分けられた2つの名刺は、相似の型を成し、本質的には同価値である事を示唆すると同時に、彫刻という創造行為はある種の破壊行為と表裏一体の関係で成り立っているという事を鑑賞者に暗示している作品です。
ギャラリストの名刺をカットするという、ある意味挑戦的な作品ですが、海外のアートフェアに出展した際も、自分の名刺を見つけたギャラリストが意外と喜んでくれるようです(逆に日本人とかの方が気にするのかもしれませんね)。
今回は名刺の作品の他に、鏡を用いた作品や石を用いた作品が展示されていました。
名刺を作品にするというインパクト大な展示でしたが、作品としての完成度も非常に高く、素晴らしい展示でした。
6月19日まで
大成 哲 | Tets Ohnari
「勿体 – buttai –」 2021.05.21 Fri – 06.19 Sat
営業時間: 火 – 土 12:00 – 19:00 | 休廊日: 日曜日・月曜日・祝日
OPEN: Tue – Sat 12:00 – 19:00 | CLOSED: Sunday, Monday and Holiday