【コラム】名和晃平作品の支持体について
名和晃平作品の代表作といえば「PixCell」シリーズです。
最近では、スパーラルガーデンの「OKETA COLLECTION: A NEW DECADE」展や、東京都現代美術館の「おさなごころを、きみに」で名和晃平さんの「PixCell」シリーズが展示されていました。
コロナ禍で外出自粛中の私は観に行くことができませんでしたが、InstagramやTwitterで『PixCell-Deer#48』の画像が沢山投稿されており、このサイトを観てくださっている皆様も、観に行かれた方は多かったのではないかと思います。
ところで、皆さんは名和晃平作品の支持体をよく観たことはありますか?
これ、ただのアルミ板では無いんです。
上品で落ち着いた印象ですが、独特の光り方をしています。目立ち過ぎず、作品に品を与えていますね。
アルミ板はアルミ板なんですが、アルミ板をサンダーで仕上げた後、アルミを酸化皮膜で覆う、アルマイト加工という特殊な加工によりコーティングしているんです。
アルマイト加工とは?
アルマイト(陽極酸化処理)とは、アルミニウムを陽極(+極)で電解処理して、人工的に酸化皮膜(アルミの酸化物)を生成させる表面処理のことです。
アルミニウムは酸素と結びつきやすく、空気に触れていると非常に薄い酸化皮膜を作ります。
株式会社ミヤキHPより引用 http://www.kashima-coat.com/aluminum/anodized-aluminum.html
この自然に作られる皮膜で保護されているので一般的に錆びにくい、いわゆる耐食性が良いといわれています。
しかし、この皮膜は非常に薄いので、環境によっては化学反応で腐食してしまいます。そのため表面を保護する表面処理、すなわちアルマイトが必要となります。
ただアルマイト加工をするというだけでも大変ですが、
皮膜を極限まで均一にし、ムラが出ないように、大きな支持体の場合は分割して処理を行い、再度一枚に組み上げるなど、徹底したこだわりです。
そうしたこだわりが、あの独特の光り方をする質感や耐久性を生んでいます。
そのため、この支持体は非常にコストがかかることもあり、高いです…笑
普通にいい作品が買えるくらいの価格がしてしまいます。初めて聞いた時は驚きました。
実は私も一つ名和晃平さんの立体作品をコレクションしており、今回紹介した支持体を持っています。
価格的には高価でしたが、十分に納得のいく完成度でした。
作品の良さをより引き立ててくれています。
次に名和晃平さんの作品を観られた際は、是非、支持体にも注目してみてくださいね。