アートに使われる素材や技法について調べてみた〜FRP編
現代アートを観ていると、キャプションの技法や素材の部分に「FRP」と表記されていることがよくあるかと思います。
日本のアーティストでは、村上隆や奈良美智、名和晃平など日本を代表するアーティストが立体作品に用いています。
今回は、その「FRP」について調べてみたいと思います。
FRPとは?
「FRP」とはFiber Reinforced Plasticsの略で、日本語で言うと繊維強化プラスチックです。
エポキシ樹脂やフェノール樹脂などに、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維を複合して強度を向上させた強化プラスチックで、
安価・軽量・高耐久性で、成型や穴あけ等の加工も比較的容易なことから、小型船舶の船体や、自動車・鉄道車両の内外装、ユニットバスや浄化槽などの住宅設備機器でよく使用されている素材です。
FRPの種類
FRPは繊維と樹脂の組み合わせにより様々な種類が存在します。
- ガラス繊維強化プラスチック
- カーボン繊維強化プラスチック
- ボロン繊維強化プラスチック
- アラミド繊維強化プラスチック
- ケプラ繊維強化プラスチック
- ダイニーマ繊維強化プラスチック
- ザイロン繊維強化プラスチック
用途に合わせて様々な特徴を持った種類があるようで、ガラス繊維強化プラスチックが一般的に使われているFRPのようです。
炭素繊維強化プラスチックは自動車や航空機の利用され、ボロン繊維強化プラスチックは軍事兵器やスペースシャトルに用いられるなど、様々な分野で活躍しているようです。
FRPの利点
- 金属材料よりも比強度が大きく、軽量化が可能
- 重量増が問題でなければ補修できる
- 耐食性に強く、塩害・水による腐食の影響を受けにくい
- 耐水性・耐候性に優れ、屋外の使用にも適している
- 着色も自由にできる
- 形状も自由に設計できる
FRPの欠点
- 経年劣化により取り付けボルト穴などから細かいクラックが入りやすいうえに外部検査では判別しにくく、修理も全体を交換しない限り継ぎ当てしか行えない
- 素材の分離が困難であるため、一般にリサイクルや廃棄処分が難しい
- 金属系の素材と比較して強い衝撃を受けた場合、繊維が樹脂から剥離する為、耐衝撃性に劣る
- プラスチックなので紫外線には注意が必要
以上、簡単にまとめてみました。
FRPの利点を考えると、非常に現代アートにフィットした素材であるように感じます。
今後も、立体作品の中心素材となっていくでしょう。
これからも注目して見てみましょう。