【アーティストインタビュー】 黒坂祐
- 1991年 千葉県生まれ
- 2017年 東京藝術大学絵画科油画専攻卒業
- 2019年 東京藝術大学美術研究科油画専 攻第3研究室修了
ギャラリー兼スタジオの機能を併せ持つ「四谷未確認スタジオ」を運営し、作家としても2019年のシェル美術賞でグランプリを受賞、2020年にオープンしたアンテルーム那覇ではコンセプトルームを担当するなど注目を浴びる作家。
以前からSNS等でよく作品を拝見していて、とても気になっていた作家さんです。SNSにアップされている作品を観て、いつも優しい色合いと構図に癒されていました。一度お話をお伺いしたいと思っていたので、今回オンラインでインタビューをお願いしました。
黒坂祐です。東京藝術大学の大学院の油画専攻を卒業して今2年目です。四谷未確認スタジオというギャラリー兼スタジオを運営しつつ、絵を描いたり他の表現をしたりして活動しています。
作風やコンセプトについて教えてください。
今は主に絵を描いてそれを展示形式でインスタレーションとして発表するのが多いですが、もともと家と自分の関係だとか、町と家の関係だとか、そういう大きいスケールのものとひと回り小さいもの、わかりやすく言うと、コンテンツとコンテナーっていうような、モノの関係を作品を通して考えるということをやっています。
アンテルーム那覇のコンセプトルームについて説明してください。
流れとしては名和晃平さんに、一部屋ちょっとやってみないかという話をもらって、部屋全体、ざっくり言って壁四面にペインティングをするというものでした。僕のもともと描いている絵に使っている形の素材をデータ化しているものがありまして、それを部屋に合わせて、あとはアンテルーム那覇のコンセプトとか沖縄の風土とかを織り混ぜつつ再構成して、実際にペインティングしていきました。ペンキもアンテルーム那覇で使っているペンキを使わせてもらって、できるだけ空間と同じテイストになるようにしています。
自分の優れていると思う点はなんですか?
今は絵を描いているんですが、できるだけ絵だけをやるというよりは、絵を中心に据えて考えるものとしつつ、場所の運営ですとか、ホテルでの建築に参加した仕事をしています。他にユニットを組んでやっているんですけど、そこではリサーチとインスタレーションというガッツリ現代美術のフォーマットで活動したりしています。
そういった色々な領域を、作品を通してだったり仕事としていけるというのは僕の中でスタイルになればいいなと思っています。
苦手なことはなんですか?
人と会わないとか、山に籠もって制作するとか、地方に住んで制作するっていうのはちょっと僕の性分ではできないかなと思います。憧れはあるんですけど、人と会わないのが苦手なので出来るだけ人と話したりできる環境にいたいなと思っています。
影響を受けたアーティストは誰ですか?
今のペインティングの仕事とかで影響を受けたのは杉戸洋さんだと思います。一番最初に全体として影響を受けたのはフランシス・アリスという現代アーティストと、古いところでいくとパウル・クレーとかは個人的に勉強して、制作の方法論とかを学んだかなと思います。
どんな子供でしたか?
絵を描いたりとかは全然してなくて、割とスポーツをしていました。野球、体操、バスケとかその辺をやっていたし、あとは、結構中心にいようとするタイプだったので、決め事するだとか学級委員的な立ち回りとかそういうのをできるだけやるようにしていました。今よりも活発なんじゃないかなと思いますね。
アート以外で好きなことはなんですか?
本を読むか、あとは街の建築物だったり街灯だとか公園の遊具とかそういうものからのインプットが多いので、そういうものを見に行ったりするのは好きですね。
一番思い出に残っているプロジェクトや作品はなんですか?
学部3年生の時に、祖母が亡くなったことをきっかけにして、実家の千葉から祖母が亡くなった病院の東京の荻窪まで歩いて行くというのをやったことがあって、それが大体8時間くらい、、それは直接作品化はしてないんですけど、パフォーマンスとして別の形で見せるっていうのをやりました。作品としてアウトプットする前の歩いていくっていうことは、かなり僕の中で強烈な体験として、その時の風景とか気持ちとかはかなり残っています。
夢を教えて下さい。
すごい夢らしい夢で言うと、絵とかは一旦置いといて、スタジオをやっていることの延長として、すごい良い宿を作ってみたいなという夢がありまして、本当に小さくてもいいんですけど、人をもてなして、くつろいでもらう空間を作って、そこにアーティストが関われたり、多くの作品が飾られたりとか、そういう実際の場において美術作品を使うということもやってみたいなと思っています。
過去のアーティストインタビューです。
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