今回は、私が大好きな現代アートの書籍「めくるめく現代アート」を紹介します。
著者は、筧菜奈子さんです。
筧菜奈子さんは、東京藝大卒で、出版時では京都大学大学院博士後期課程在籍で、現代美術史と装飾史を専門とされています。
ジャクソン・ポロックや日本の文様などについて研究や、イラストの執筆やデザイン提供など、幅広い領域で活躍されておられます。
表紙は、アンディ・ウォーホル、マルセル・デュシャン、ガブリエル・オロスコ、クリスト、ダミアン・ハースト、草間彌生、岡本太郎のイラストが描かれており、タイトルの他に「イラストで楽しむ世界の作家とキーワード」と書かれています。
‘世界の作家’ を紹介している書籍は多数ありますが、この書籍で紹介されている作家は、現代アートのことをよく理解している人が選ぶ ‘世界の作家’ という印象を受けます。
紹介されているアーティストは以下のアーティストになります。
国内作家は6名
- 草間彌生
- 赤瀬川原平
- 荒川修作
- 岡本太郎
- 村上隆
- オノ・ヨーコ
海外作家は35名
- マルセル・デュシャン
- ジャクソン・ポロック
- ロバート・ラウシェンバーグ
- ジャスパージョーンズ
- フランシス・ベーコン
- フランク・ステラ
- アラン・カプロウ
- イヴ・クライン
- アンディ・ウォーホル
- ソル・ルウィット
- ロバート・スミッソン
- クリスト&ジャンヌ=クロード
- ヨーゼフ・ボイス
- ナム・ジュン・パイク
- マルセル・ブロータース
- シンディ・シャーマン
- ジェフ・クーンズ
- ジェームズ・タレル
- フェリックス・ゴンザレス=トレス
- ゲルハルト・リヒター
- クリスチャン・ボルタンスキー
- ジュゼッペ・ペノーネ
- マリーナ・アブラモヴィッチ
- アニッシュ・カプーア
- ヴォルフガング・ティルマンス
- ダミアン・ハースト
- ガブリエル・オロスコ
- ウィリアム・ケントリッジ
- エルネスト・ネト
- アイ・ウェイウェイ
- バンクシー
- ティノ・セガール
非常にいいチョイスです。
国内作家が少し少ないですが、海外作家を中心に紹介しようとされているので仕方ないでしょう。
イラスト満載で、各作家2ページでうまく重要な情報を伝えており、私自身、今まで名前は知っていたけど、あまり理解できていなかった作家が多かったのでとても勉強になりました。
アーティスト紹介のあとは、
「早わかり20世紀美術史」
というコーナーで1900年〜2010年までの美術史が、作家や重要なキーワードを交えて4ページで簡単に紹介されています。
キーワード編では、各キーワードが1〜2ページで紹介されています。38キーワードです。
- 抽象表現主義
- ポップ・アート
- コンセプチュアル・アート
- パフォーマンス・アート
- リレーショナル・アート
- ミニマル・アート
- アルテ・ポーヴェラ
- もの派
- ネオ・エクスプレッショニズム
- アプロブリエーション
- ソーシャリー・エンゲイジド・アート
- モダニズム/ポストモダニズム
- フェミニズム/ジェンダー
- アール・ブリュット/アウトサイダー・アート
- 美術館
- 国際展
- レディメイド
- アヴァンギャルド
- フォーマリズム
- メディウム
- 装飾
- ボディ・アート
- インスタレーション
- パブリック・アート
- サイト・スペシフィック
- 多文化主義
- アートプロジェクト
- 学芸員/キュレーター
- アートマネジメント
- アートマーケット
- ギャラリー
- 作者/観者
- 日本画
- メディア・アート
- 写真
- おたく文化
- マイクロポップ
- 拡張主義
結構バラバラなキーワードですが、現代アートを学ぶ上で非常に重要なキーワードばかりです。この章はマニアでも楽しめるのではないでしょうか。
その後は、
- 「アートをめぐる巨額のお金」
- 「現代アート 読むと広がる10冊」
- [アーティスト生年早見表」
とコラム的な内容が続きます。どれも面白い内容です。生年早見表は使えますね。
この書籍の注目すべき点として、
①現代アート初心者にも分かりやすい説明とイラスト
②現代アートマニアも楽しめるキーワードの選び方
かと思います。
現代アートを勉強し始めた方、気になるキーワードがあったマニアの方、みなさんにお勧めできる書籍です。
現代アートについて興味は持っているけど、まだまだ詳しくない友人にプレゼントしてみるのも良いかもしれません。
いつか国内作家バージョンも出版されるといいなと思います。