【アーティストインタビュー】 新宅加奈子
- 1994年 大分県生まれ
- 2017年 京都造形芸術大学 総合造形コース卒業
- 2019年 京都造形芸術大学 総合造形領域修了
大学在学中より独創的な表現方法が話題を呼び、京都BALのスターバックスコーヒーでの展示や2019年のARTISTS’ FAIR KYOTOでは名和晃平の推薦により出品されるなど、近年最も注目される若手アーティストの1人。
初めて作品を観た時、強烈なモチーフと色味に驚きました。パフォーマンスの写真を作品として発表されている作家さんは多数おられますが、新宅さんの作品は他とは違う、圧倒的な存在感を放っています。どのような作家さんなのか非常に興味を持ったためインタビューをお願いしました。
自己紹介をお願いします。
美術家の新宅加奈子です。
作風やコンセプトを教えてください。
私は裸になって全身に絵の具を纏うという作品を制作しています。
この行為自体は2010年から行なっていますが、当時からアート表現の為ではなく、自身が生きる為に必要な行為として行なっていました。その為、学部の時は立体作品を制作したり、別の身体表現を行なったりしていました。
その後、大学院に進学したのち、制作に行き詰まった時期がありました。そこでもう一度表現を見直したいと考えていた際、塗料を纏う行為を作品化しようと2年前から発表し始めました。
塗料の中に片栗粉を入れていて、自分の体温によって塗料がゆっくりと硬化していき、ヒビを形成していきます。それが第二の皮膚として、鎧や鱗のように形成され、そしてパラパラと剥がれ落ちていく、その過程から、「存在」に対する時間感覚や、生命を宿した物体が持つ気配、生と死、また人間の外部皮膚に対するアプローチをパフォーマンスとして表現しています。
この行為自体は2010年から行なっていますが、当時からアート表現の為ではなく、自身が生きる為に必要な行為として行なっていました。その為、学部の時は立体作品を制作したり、別の身体表現を行なったりしていました。
その後、大学院に進学したのち、制作に行き詰まった時期がありました。そこでもう一度表現を見直したいと考えていた際、塗料を纏う行為を作品化しようと2年前から発表し始めました。
塗料の中に片栗粉を入れていて、自分の体温によって塗料がゆっくりと硬化していき、ヒビを形成していきます。それが第二の皮膚として、鎧や鱗のように形成され、そしてパラパラと剥がれ落ちていく、その過程から、「存在」に対する時間感覚や、生命を宿した物体が持つ気配、生と死、また人間の外部皮膚に対するアプローチをパフォーマンスとして表現しています。
今回新しく発表された作品について教えて下さい。
「beings」を「〜になる」という意味としてタイトルを設定しました。
この作品は、自身の身体によって硬化した塗料をデータ化し、UVプリントを使用しアクリルブロックに出力したものです。
私の作品の主軸には「生きている事を確認する行為」があるのですが、その主軸からハードウェアとソフトウェアという概念を設定し、その間を反復していく制作スタイルをとっています。その反復を続けていくと身体の具体性を保った抽象化がなされ、それがthe humanいわゆる人間なるものという本質へと繋がっていくのだと考えています。
今回の「beings」では保存不可能な硬化した塗料をどのように3次元内で保持させるかを考察した結果、光の屈折を利用することで、アクリルブロックの中に固体が存在しているような、そのような作品を制作しました。
この作品は、自身の身体によって硬化した塗料をデータ化し、UVプリントを使用しアクリルブロックに出力したものです。
私の作品の主軸には「生きている事を確認する行為」があるのですが、その主軸からハードウェアとソフトウェアという概念を設定し、その間を反復していく制作スタイルをとっています。その反復を続けていくと身体の具体性を保った抽象化がなされ、それがthe humanいわゆる人間なるものという本質へと繋がっていくのだと考えています。
今回の「beings」では保存不可能な硬化した塗料をどのように3次元内で保持させるかを考察した結果、光の屈折を利用することで、アクリルブロックの中に固体が存在しているような、そのような作品を制作しました。
自分の優れているところを教えてください。
何にでも興味があるところです。
例えば知らなかった表現媒体や素材、概念に触れると非常にワクワクします。それはアート表現以外でも、自然や文化、コミュニティ、また企業が行なっている取り組みやシステム等様々です。
私はこれまで非常に視野と行動範囲が狭い世界で生きてきたので、固定観念から逸脱する事や物にかなり興味があります。
そこから「何故」というクエスチョンを発展させていき、自身の制作や考察に変動をもたらしたいと考えています。
例えば知らなかった表現媒体や素材、概念に触れると非常にワクワクします。それはアート表現以外でも、自然や文化、コミュニティ、また企業が行なっている取り組みやシステム等様々です。
私はこれまで非常に視野と行動範囲が狭い世界で生きてきたので、固定観念から逸脱する事や物にかなり興味があります。
そこから「何故」というクエスチョンを発展させていき、自身の制作や考察に変動をもたらしたいと考えています。
苦手なことはなんですか?
気分転換が苦手です。ガックリくることがあると自然に帰りたくなってカメラを片手に心を休めています。
影響を受けたアーティストを教えて下さい
サルバドール・ダリとマリーナ・アブラモヴィッチです。
ダリは私がアートを始めるきっかけとなった人となります。彼に出会うまで、私はクラシックに長い間関わっていたのですが、偶然テレビでダリの特集を観て、何故この二次元媒体に三次元の世界がこんなにも広がっているのかと、そこに次元を超越した自由さを見出しました。それがアートやろうと思いたったきっかけです。
アブラモヴィッチは、私が学部時代に出会った作家です。以前から少しずつ身体を使った作品に魅力を感じていて、彼女の作品を拝見してから、身体や植物など、生命を宿したものこそが究極の彫刻作品であるという結論に至りました。身体が持っている禍々しいくらいのエネルギーを感じて、そこから身体表現にコミットしていこうと考えました。
ダリは私がアートを始めるきっかけとなった人となります。彼に出会うまで、私はクラシックに長い間関わっていたのですが、偶然テレビでダリの特集を観て、何故この二次元媒体に三次元の世界がこんなにも広がっているのかと、そこに次元を超越した自由さを見出しました。それがアートやろうと思いたったきっかけです。
アブラモヴィッチは、私が学部時代に出会った作家です。以前から少しずつ身体を使った作品に魅力を感じていて、彼女の作品を拝見してから、身体や植物など、生命を宿したものこそが究極の彫刻作品であるという結論に至りました。身体が持っている禍々しいくらいのエネルギーを感じて、そこから身体表現にコミットしていこうと考えました。
子供の頃はどんな子供でしたか?
年を重ねるごとにどんどん内気になっていった子供だったと思います。ピアノを習っていたのですが、練習はあまり好きではなく、ただ弾くのは好きだったので、家族がいない時にジャズとか弾いたりしていました。黙々と何かをするのは凄く好きでした。後は、実家が田舎にあったので愛犬と一日中野原で遊んだりしていました。
アート以外で好きなことはなんですか?
映画を観ることです。映画はとても好きで、前までは一日中映画館に入り浸って観たり、自宅で観たりしていました。基本的に1人で観る事が好きなんですが、その2時間ほどの暗闇の中の1人の世界に1つのものに向かって、物事がスッと入ってくる。そんな状況が疲れなくて良いです。
思い出に残っている作品やプロジェクトを教えてください。
大学院の二回生のとき京都のKunstarztで最初に個展をした時です。
現在やっている作品を初めてパブリックな場所で発表し、またギャラリーでパフォーマンスをするという形態を初めてとりました。新しい事ばかりで戸惑いももちろんありましたが、しっかり手応えを感じることが出来て、自分の表現を確立できたような感触がありました。
現在やっている作品を初めてパブリックな場所で発表し、またギャラリーでパフォーマンスをするという形態を初めてとりました。新しい事ばかりで戸惑いももちろんありましたが、しっかり手応えを感じることが出来て、自分の表現を確立できたような感触がありました。
夢を教えてください。
私は夢を設定しておらず、目標を設定しています。
小さな目標としては、拠点をいくつか持つということです。
現在京都で制作しているのですが、環境の外的要因は結構大きいのではと考えていて、環境を変えると思考が変わり、皮膚感覚も変化していくのではと考えています。その為、固定の場所は持ちたくないと思っています。ただ、制作をしていると制作場所は必要なので拠点をいくつか持ちたいです。
大きな目標だと、海外の美術館で個展をすることです。国内で発表するパフォーマンスと海外で発表するパフォーマンスに対するレスポンスの差異や自身の感覚を経験したいと考えています。そして作品や思考を変化させていきたいと思っています。
小さな目標としては、拠点をいくつか持つということです。
現在京都で制作しているのですが、環境の外的要因は結構大きいのではと考えていて、環境を変えると思考が変わり、皮膚感覚も変化していくのではと考えています。その為、固定の場所は持ちたくないと思っています。ただ、制作をしていると制作場所は必要なので拠点をいくつか持ちたいです。
大きな目標だと、海外の美術館で個展をすることです。国内で発表するパフォーマンスと海外で発表するパフォーマンスに対するレスポンスの差異や自身の感覚を経験したいと考えています。そして作品や思考を変化させていきたいと思っています。
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