鮫島ゆいさんは、京都生まれ、京都精華大学芸術学部 版画専攻を卒業した作家さんで、ホテルアンテルーム京都に鮫島ゆいさんの作品で構成される部屋があるなど、関西を中心に活躍している作家さんです。
私は10代後半に病気を患い、その頃から身体と精神のバランスについて考えるようになったことをきっかけに、生命の形状や存在を探るための行為として制作活動を始めました。 模索する中で、日本人のルーツである神道に触れたことから、作品を制作することは、みえざるものに形を与える、祈りの行為であると考えるようになり、近年は絵画表現を中心に『みえるものとみえざるものを繋ぐこと』をテーマとする作品を制作しています。 プロセスとしては、先ず日々の中に溶け込んでいる「みえざるもの」に触れるためのツールとして、実在する何気ないモノどうしを組み合わせ、「依り代」としての立体物を作ります。 次にそれらをなぞるように平面として描き起こし、架空のモチーフを交えたあらゆるイメージを合成、解体しながら絵画として構築します。 五感によって構成される「実在」と、思考や感情による「架空」を画面上で混在させることで、「みえるもの」と「みえざるもの」、それぞれの境界を多面的・多角的に探ろうと試みています。 日本においては、古くから多神教の文化があり、アニミズム信仰に始まり、どんなモノにも霊魂や精霊が宿ると信じられてきました。 時に神として、時に妖怪やお化けとして、みえざるものに形を与え、特別なものとして祀る人々の精神性は、確かなものと不確かなものを繋ぐための行為であり、芸術の役割もまたそうであると感じます。 私は自らの作品を通じて、時代とともに変化はしつつも、現在を生きる私達にも脈々と受け継がれている日本人としての精神性や祈りの形を考察し、問いかけたいと考えています。
鮫島 ゆい「境界のミチカケ」
会期:2020年10月3日(土)〜10月25日(日)
時間:12:00-19:00(最終日17:00まで)
月火水 休廊
会場:2kw gallery〒520-0053滋賀県大津市音羽台3-29-1
■ 会期中に、江上ゆか氏(兵庫県立美術館学芸員)との対談の様子をオンライン配信いたします。詳細は http://www.2kwgallery.com/ をご覧ください。
ご本人のTwitterで作品画像をいつくかアップされていましたが、大作が非常に良さそうです。
具象のような抽象のようなキャンバスの中で繰り広げられる独特の世界観が、より洗練されてきた印象です。
滋賀の2kw galleryで10月25日まで、皆様ぜひ。