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【アートレビュー】伊庭 靖子 個展「grain」

伊庭 靖子「grain」

深江橋にあるGalley Nomartで、2019年6月1日〜6月29日まで開催されている、伊庭靖子「grain」展に行ってきました。

 

 

ギャラリーノマルでは15年ぶりの個展。新作版画である「grain」シリーズを中心とした版画展です。

 

1階は新作の「grain」シリーズの展示で、2018年の新作10種と2017年の作品1種が展示されています。

 

2階は旧作の版画シリーズと、過去の作品集などが展示されています。

 

「grain」シリーズは、シルクスクリーンの作品で、風景写真の粒子(grain)をあえて粗くして表現するという、特殊な刷り方で作られた作品です。

遠くから見るとベールがかった美しい絵画や写真のように見えますが、近づくと粒子の粗さを感じることができ、粒子の集積であることを強く感じることができる不思議な作品です。

全7刷の版画ですが、通常のインクに加えて、一部に発泡インクを使用しているため、ザラッとした粒感があります。

版によって前面に出す粒の大きさを変えたり、色調も変えたりしているため、10種の作品シリーズですが、各作品毎に味が異なります。

 
 

モチーフも湖や木、温室やジャングルジムなど、日常で私たちが目にするようなものばかりですが、不思議なベールを纏っています。

 

伊庭靖子さんとギャラリーノマルでないと出来ないであろう、非常にクオリティーの高い版画作品です。

写真では非常に伝わりにくい作品ですので、是非会期中に足を運んでみて下さい。

 

2019年7月20日〜10月9日 東京都美術館で

「伊庭靖子展 まなざしのあわい」も開催されているのでそちらも是非。

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