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【オークションレビュー】「第37回SBIアートオークション|モダン&コンテンポラリーアートセール」を振り返ってみた

皆様、前回のオークション予想の記事、見事外しまくり申し訳ございませんでした。


では、気を取り直して

2020年6月19日〜20日に開催された「第37回SBIアートオークション|モダン&コンテンポラリーアートセール」の振り返りをしていきたいと思います。

※落札予想価格をEstと記載しております。


今回のオークションの結果は

LOT数575 落札総額は7億5345万7000円 落札率は90.4%でした。 

 

前回、2020年2月1日に開催されたSBIのオークションは

LOT数445 落札総額は5億7753万0000 落札率は89.2% 

でしたので、1LOTあたりの落札価格は前回とほぼ同じです。


 

次は、出品された作品の落札価格の分布を見ていきたいと思います。

※手計算でカウントしたため、実際の数値と誤差がある場合がございます。

 

まず、未落札・Est下限以下・Est下限上限範囲内・Est上限以上に分類してみました。

Est範囲内とEst上限以上の割合がほぼ同じです。私の感想としては、こんなにEst上限以上が多いのかと驚きました。前回までのオークション分析を実施できていませんが、今後は比較検討していきたいと思います。


 

では、より詳細に分類していきましょう。

先ほどの分類のEst上限以上の部分をEstの何倍であったのか5つに分類し、合計8つに分類していきたいと思います。

  • 未落札 【50作品(8.9%】
  • Est下限以下 【7作品(1.2%)】
  • Est内 【253作品(44.9%)】
  • Est上限<落札価格<Est上限2倍 【169作品(30%)】
  • Est上限2倍≦落札価格<Est上限3倍 【57作品(10.1%)】
  • Est上限3倍≦落札価格<Est上限4倍 【9作品(1.6%)】
  • Est上限4倍≦落札価格<Est上限5倍 【8作品(1.4%)】
  • Est上限5倍≦落札価格 【10作品(1.8%)】

こう見ると、Estの上限は超えてるけど2倍まではいってない作品が多いですね。まぁ妥当な所でしょう。

各分類のパターンを見ていきたいと思います。

 

未落札 【50作品(8.9%】

未落札は50作品ありました。村上隆や奈良美智のグッズ系の作品や、松谷武判・堂本尚郎・菅井汲・今井俊満・須田剋太・桑山忠明などの1970〜1990年代の作家や、塩保朋子・佐藤允・衣川明子など今後の活躍が期待できる比較的若い作家も未落札になっています。


 

Est下限以下 【7作品(1.2%)】

Est下限以下は、ライアン・マクギネスのスケボーや村上隆のヘアピンなどのグッズ系、トーマス・ルフや名和晃平のエディション作品。奈良美智、中西夏之のユニークピースがEst下限以下の落札でした。奈良・中西の作品は少しEstが高めだったのかなという印象です。


 

Est上限2倍≦落札価格<Est上限3倍 【57作品(10.1%)】

Est上限2倍≦落札価格<Est上限3倍は以下のアーティストです。

Haroshi、ダニエル・アーシャム、空山基、フューチュラ、バンクシー、KAWS、奈良美智、MADSAKI、Mr.、村上隆、横尾忠則、三島喜美代、小野田實、李禹煥、篠田桃紅、KYNE、山口歴、クリスト、マイケル・ケーガン、ハビア・カジェハ、インベーダー、マーク・ドリュー、小畑多丘、花井裕介、長場雄、名和晃平、ロッカクアヤコ、加藤泉、金氏徹平、法貴信也、今井麗、ヤノベケンジ、金田勝一、桑田卓郎

ストリート系の作家とオークション常連の実力派の作家が揃っていますね。KAWSは11作品が該当


 

Est上限3倍≦落札価格<Est上限4倍 【9作品(1.6%)】

Est上限3倍≦落札価格<Est上限4倍は以下のアーティストです。

張暁剛、マストワン、小畑多丘、KYNE、Mr Doodle、Mr.、KAWS

よりストリート系の作家に絞られてきた気がします。


 

Est上限4倍≦落札価格<Est上限5倍 【8作品(1.4%)】

Est上限4倍≦落札価格<Est上限5倍は以下のアーティストです。

KAWS、ジョージ・ロドリーゲ、空山基、カシン・ローン、エドガー・プランズ、佐伯俊男、マストワン、オートモアイ

やはりストリート系、佐伯俊男が孤軍奮闘


 

Est上限5倍≦落札価格 【10作品(1.8%)】

Est上限5倍≦落札価格は以下のアーティストです。

佐藤誠高、LY、KYNE、アドリアナ・オリバー、Mr Doodle、風間サチコ、井田幸昌、村上隆

相変わらずストリート系もいますが、若手注目株の井田幸昌と佐藤誠高が非常に印象的でした。井田幸昌はバブルに入ったと言えるでしょう。これからどう国際マーケットに出ていくか、村上隆も関わっているので、上手く出ていくかもしれませんね。佐藤誠高さんはここまで上がるとは… 


 

今回のオークションは全体的見ると、コロナ前と変わらずに落札されていますが、ストリート系の人気が非常に高まっている印象です。

ストリート系の人気を考えると比較的若いコレクターが増えてきているのかもしれませんね。今後のオークションでもこの傾向は高まるのかなと思います。

この傾向を逆手に取ると、中堅〜ベテラン勢の良作が比較的安い価格で落札されていますので、いい作品をコレクションするチャンスと言えるでしょう。

日本の作家は質の高い作家が多いので具体のようにいずれ再評価される作家もいるかもしれませんよ。

作家の名前で作品を見るのではなく、純粋に作品としていいものや好みの作家を探すのもオークションの醍醐味だと思います。

次回のオークションを楽しみにしておきましょう。

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