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【アーティストインタビュー】#017 松村咲希

【アーティストインタビュー】松村咲希

 

  • 長野県生まれ
  • 2017年 京都造形芸術大学芸術研究科修士課程芸術専攻ペインティング領域修了(現:京都芸術大学)

 

「ターナーアクリルガッシュビエンナーレ2017」入選、「トーキョーワンダーシード2017」入選などの受賞歴を持ち、三菱地所関西支店OAPタワーオフィス内休憩室への作品設置、ユニバーサルミュージックジャパン社内での作品設置プロジェクト(Universal Music Art Project 17)に参加するなど、注目の作家。

 

 
運営者 播磨
数年前で個展を拝見した時に、様々な技法や色、モチーフがキャンバスに混在した表現がとても面白いと思いました。数年ぶりに某ギャラリーコレクションとして展示されていた松村さんの作品を観て、凄まじい進化にとても感動しました。今後が楽しみな作家であるため今回インタビューをお願いしました。

 

 

松村咲希です。絵画を描いていて、京都造形芸術大学(現:京都芸術大学)の大学院を出て三年目になりまして、そのまま京都でアトリエを借りて活動しています。
 
作風やコンセプトについて教えてください
コンセプトを言うって事が苦手で、悩んでいます。日々解釈が変わって、毎回言う事が変わるので半分嘘だと思って聞いて欲しいです。笑 

私の作品はコラージュ遊びのような、いびつで整合性の取れない空間生を持った作品です。

自分が天邪鬼なのかなと思うのですが、画面の中でやっている事が、矛盾することばかりをぶつけ合うような状態になっているんです。 例えば、地と図が反転し続けていたり、描いあるように見えて、実際描いてなかったり、一個やると反対のもう一個をやっちゃう。そんなことを一つの画面の中に沢山詰め込んで、混沌や矛盾がいっぱいある状態で一つの絵画の画面を作りたいと思っています。

矛盾や混沌に出会ったときに、答えや理屈みたいな所を求めようとすると思うんですけど、そういう迷っているような状態の頭に浮かぶイマジネーションの中に、なんだか新しいものが見える気がするんです。時空とか次元とか超えたような景色に一瞬でも触れられそうな気がする、そんな感じを求めているのかなと思います。
 
THE POWER OF ART Vol.4 に出展している小作品について教えてください。
THE POWER OF ART に出している作品は、「combination-quick 3」という 33×22cm の小さい絵です。

以前、絵が小さい事の意義って何があるかな、と思っていました。

 また、私が絵を描くときに身体の動きが結構大き目なタイプなので、小さい絵に色々入れ込んで描くと、窮屈になって上手くできなくて困っていました。

その頃に「自分の好きな絵の一部を切り取って持って帰りたい」と言っていた友達の言葉をふと思い出しました。それは面白い発想だなと思いました。

どこかを切り取ると、その絵では無くなっちゃう?

一部を再現したら、それはただの再現なのか、 新しい絵になる?

また、絵画がどこから成立して、どこから成立しなくなる?

などと思って、とにかく過去作の大きな絵の一部要素を切り取って再構成した作品をやってみることにしました。 これが、今のところ、これらの小さいサイズの作品を作る理由になっています。
 
自分の優れていると思う点はなんですか?
適当な性格です。適当な性格は社会人としては良く無いんだけど、制作をしている上では、失敗した時にまぁそれで良いかと、じゃあ次どうしようかなと、気持ちを切り替えることができるので、この楽観的な性格は良かったかなと思います。
 
苦手なことはなんですか?
作品の言語化をすること!笑
あと人の名前を覚えるのがとても苦手です。
あと宅急便の受け取り、夜更かし、計算です。
 
影響を受けたアーティストは誰ですか?
個人名を言うとしたら。フランシス・ベーコンとピーター・ドイグです。

学生時代は油絵で具象画を描いていて、ちょっと情緒的、精神的な具象画を描いていました。

そこに行き詰まっていて、ドイグやベーコンを見て真似をして描いてみたら、自分はいつも具象画だけを意識して描いていたけど、ドイクとかベーコンの絵には抽象画の要素が入っていること気付いて、それから抽象画を描くという別の方向性に興味を持てるようになりました。
 
どんな子供でしたか?
親からつけられていたあだ名が邪鬼です。サキとジャキでかけている。笑
天邪鬼な子供だったようです。 

それから、怪談話とかホラー映画とかヘビメタとか、怖いものが好きでした。幼稚園の連絡帳に「咲希ちゃんは怖い話を聞きたがるのに1人でトイレに行けなくなって困っています」と書かれていました。これは大人になっても変わりません。
 
アート以外で好きなことはなんですか?
趣味みたいなものが、家の整理整頓かな、、

あとは、仕事中とか作業しながら、ラジオ番組とか朗読とか講義録を YouTube で漁って聞くのが好きです。
 
1 番思い出に残っている作品やプロジェクトはなんですか?
思い出の作品は 2016 年の学生の頃に描いたロープの絵です。

白いパネルの上にロープを置いて、そこに銀のスプレーをかけるとロープの跡が残る、ステンシルのような感じで描いた作品です。

描き始めた理由は「捻じれているロープの裏側ってどこなんだろう?」って思って、絵具をかけたら どこか裏にならないかと、期待して描いた。

結果、ロープの影とか痕跡、そういうものが画面の上に現れていました。二次元平面にそういうものが定着しているって事だから、結局ロープ自体の裏は全く取れていないんだけど、絵画というものが痕跡とか影とか平面の上にあるものであるということを感じました。

あと、ロープの痕跡部分が白く発光しているような絵になっていて、光っている絵画だと感じました。

これらのことから、絵画の根源的なところに触れた気がして、思い出深い作品です。 これが、今のような絵を描き始める少し前の作品でした。それから抽象画を描いていくことにしまし た。
 
夢を教えてください。
夢はずっと作家でいられたらと思います。

でも、コロナの自粛期間があって発表機会が無くなって、 しばらく絵を描くことはサボってみました。もう再開したんですけど。サボってみたら忙しくない心持ちで生きてる状態って、自然で豊かな気持ちになるって気づきました。そこで将来の夢は修正して、 忙しくない作家でいることにしました。

combination-quick 3
2020
wood panel,cotton cloth,acrylic,spray
H333xW220xD50 mm(P4)
 
combination – swichbacks
2020
wood panel,cotton cloth,acrylic,spray
H1620xW1300xD 50mm(F100)
 
FORM-lightning
2020
wood panel,cotton cloth,acrylic,spray
H1620xW1300xD 50mm(F100)
 
components FORM- Go 5
2019
wood panel,cotton cloth,acrylic,spray
H273xW220xD50 mm(F3)
 
阿吽-um-
2019
wood panel,cotton cloth,acrylic,spray
H1620xW1300xD 50mm(F100)
三菱地所関西支店 オフィス 内常設

過去のアーティストインタビューはこちら

↓↓↓

http://syuumatunoart.com/2019/10/30/【アーティストインタビューまとめ】/

 

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