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1)どこで買うのか。

1)どこで買うのか。

アートはどこで買うと思いますか?

コレクターから買う。画廊で買う。百貨店で買う。

パッと思い浮かぶのはこの辺りでしょうか?

どれも正解ですが、他にも買う手段は沢山あります。

この項では、アート売買の簡単な仕組みについて説明していきます。

 

まず、重要なこととして、アート作品は「プライマリー」と「セカンダリー」に分けることができます。

すごく簡単にいうと、新品が「プライマリー」で中古が「セカンダリー」です。

プライマリーとセカンダリーといっても様々な販売形態があります。これからそれぞれ説明していきます。

【プライマリー】

プライマリーというのは、人の手に渡っていない作品(新品)を販売するところで、 ①プライマリーギャラリー(店舗・ネット)と、②作家に分かれます。

 

〈①プライマリーギャラリー〉

プライマリーギャラリーというのは、作家が所属していたり、作品の販売元になるギャラリーです。

基本的に作家の個展を開催し作品を売る以外にも、作家の情報をまとめて世にPRしたり、作家に作品制作のアドバイスをしたり、作品の値段を決めたりするのが主な仕事です。

私たちがどれだけいいアイディア商品を作れても、それを取り扱ったり販売する会社がなければ世の中に普及しないのと同じで、ギャラリーの付いていないアーティストは世界で活躍できません。

最初に作品が販売される場所になるので、作家の最新作を買えますし、贋作が入ってくる可能性は99.9%ないので最も安心して買うことができます。

 

〈②作家〉

作家から直接作品を買う方法です。

ただし、まだギャラリーの付いていない作家に限ります。ギャラリーの付いている作家から直接購入するのは基本的にはタブーとされています。

基本的にプライマリーギャラリーと作家の取り分は50:50のところが多く、10万円の作品でしたら、ギャラリーの取り分が5万円で作家の取り分が5万円です。

それを聞くと、作家から直接買った方が安く買えるのでは?と思いますよね。

確かに直接購入すれば少し安く手に入れられるかもしれませんが、長い目でみると作家と購入者にとってはマイナスになります。

ギャラリーは作品がよく売れたりして人気が出てきた場合、次に発表する作品の価格を上げたり、積極的にアートフェアに出品したりとPRに力をいれるようになります。

営業の世界で例えると”作品が売れる”ということが営業成績みたいなもので、営業成績が良くないと会社(ギャラリーやアート業界)から評価してもらえないように、作品や作家の価値を上げていくことを考えれば直接購入は避けるべきですし、作家も直接販売はしないはずです。

たまに直接販売してくれる作家さんもおられますが、その場の利益だけを考えており、長期的な目線で作家人生を考えられていないと思われますので、あまりおススメできません。

【セカンダリー】

 ③セカンダリーギャラリー(店舗・ネット)

 ④アートオークション

全く違う分野で例えると、中古車販売店や古本屋、ヤフオクのように一度人の手に渡った物(作品)を販売するのがセカンダリーです。

セカンダリーには、店舗やネット店舗を構えて、値段を決めて販売する③セカンダリギャラリーと、ヤフオクのようにオークション形式で価格を決めていく④アートオークションがあります。

世の中に流通している物は、基本時には中古の方が値段が安いですが、アートの世界では”新品よりも中古の方が価格が高くなることがある”ということがよくあります。

例えば村上隆さんの「マイ・ロンサム・カウボーイ」という作品は、プライマリーで販売された時には500万円程度だったそうですが、2008年のオークションでは16億円で落札されています。

奈良美智さんの作品は初期の頃、小さな作品で数万円から販売されていたようですが、現在、オークションではA4サイズくらいの作品でも1000万円前後の値段で取引されたりしています。

これはそのアーティストに対して、ファンが増えた、有名なコレクターが作品を買った、有名美術館で作品が展示された など様々な付加価値が付いたことで値段が変わってきています。

そのようなセカンダリーで価値のグングン上がってきているアーティストの作品を買えるだけの資金があればいいのですが、我々サラリーマンでは全く歯が立たない世界です。

ただ、セカンダリーに出てきている作家はある程度アートの世界で価値付けされている作家で、売れる可能性が高いものしか取り扱いしません。

ある程度の資金があり、比較的確実な作品を買いたい場合はセカンダリーで買うのも1つかと思います。

①②③④を説明しましたが、初めてアートを買う場合は、①のプライマリーギャラリーをお勧めします。

作品価格も比較的安いものからありますし、ギャラリーの方から作家の情報なども聞くことができます。

オープニング(展覧会初日)にいくことができれば作家と直接話を出来る場合もありますのでおすすめです。

おすすめのプライマリーギャラリーの紹介は次の章で行いますが、国内のアートフェアもおススメです。

アートフェアとは、沢山のプライマリーギャラリーが1つの会場に集まり作品を展示・販売するイベントです。色々なジャンルの作品を観れますし、比較的買いやすい作品を取り扱っているアートフェアもありますし、沢山のギャラリーが集まるので、今後のギャラリー巡りなどにも大いに役立ちます。

 

その様なルールを知った上で、アートを購入できる色々な場所に足を運んでみて下さい。

運命の作品に出会えるかもしれません。